[ 車の理論と、基礎知識が自然と身につく情報誌!]

 車の事典
    中高年と初心者のための『車読本』

             by CARLIVE SEEKER『車は1/1の模型だね』
                         
                        − 第61号 2008.05.27 −   
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    ☆皆様、お元気でしたか!!
          ご購読いつもありがとうございます。
                      
        そして、はじめての方には、ご登録ありがとうございます。
            
    ‐このメールマガジンは‐

    難しいクルマの専門用語を、極力やさしい言葉におきかえて
    中高年、初心者の皆様方にも、ご理解していただけるように
    お伝えしているつもりですが、

    時に、専門的な用語をつかったほうが、ご説明しやすい場合
    もあります。

    そのような場合でも、用語の解説を付記していきますので、
    ご安心ください。

    また、このメールマガジンを読み進めていくことで、
    自然と専門知識を身につけ、ご家族やお友達に、ちょっぴり
    うんちくを傾けられてはいかがでしょうか。

       [等幅フォントか、MSゴシックでお読みください]

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    それでは、今日もご一緒に。
    
    初心者でもプロの知識が!
  
    ★ やさしい自動車工学【出力編     

    ■【エンジンの出力】

    創刊以来、
    自動車エンジンの、性能に関する基礎的な知識(基本用語)につい
    て、お伝えしてまいりましたので十分ご理解された事と思います。

    ある意味、自称プロの人たち以上にですよ。

    尤も。
    真のプロフェッショナルは、自ら自身のことをプロとは申しません
    が。。

    また機会をみて、
    重要な項目に関しては、繰り返し復習をしていきますね。

    ◆[吸入・排気行程]inhalation・exhaust stroke
    
    前回の「吸入抵抗」はいかがでしたか。

    空気(混合気)を効率よく吸入させる必要性と、またそれを解決す
    る工夫が随所になされていましたね。

    燃焼室においては、
    吸入バルブのヘッド周り(吸入ポート)に十分な面積をもたせ流入
    してくる混合気が、絞られないようにしてやる。

    それに「出力を大きくする」という面から、
    「気化器」(機械式の場合)と「エアクリーナー」の吸入抵抗も少
    ない方がよい。

    またこのエアクリーナーに関しては、
    「燃料消費率」や空気の「濾過効率」に大きく影響してくるので、
    このことにも多いに考える必要があるのです。


    それでは、今日のテーマです

    「バルブ・タイミング」valve timing
    
    前述のように
    エンジンの出力を大きくするには、「吸入効率」を上げてやれば良
    いと言うことでしたね。

    ※そしてこの「吸入効率」の最も良いところを、
    「エンジンの回転速度」のどの領域に置くのか、これによってエン
    ジンの性格(エンジン性能特性)が変わってくる。

    ▼これを決定する
    主な要因の一つが、これから述べる「バルブ・タイミング」によっ
    て決まってきます。

    たとえば、排気バルブを早目に開いてしまったことで、まだ十分に
    有効活用できる高温・高圧の燃焼ガスの「膨張エネルギー」を、
    無駄に排出したり。

    また既に吸入(吸気)バルブが開き、
    新しい混合気が燃焼室に流入をはじめているのに、まだ排気バルブ
    が開いたままでは、

    新鮮な混合気に、
    排気ガスが吹き返し、汚染された混合気になってしまい燃料消費率
    も悪くなってしまう。

    ※このことは、
    どれもが「バルブ・タイミング」の適正でない一例であって、いか
    に「バルブ・タイミング」が「エンジン性能」の基本に重要な役割
    を果たしているか、お解りいただけると思います。
      
    ▼それでは、吸入及び排気バルブの開閉時期(バルブ・タイミング)
    について述べていきます。

    1)吸入(吸気)バルブ開:I.V.O intak valve open

    吸入バルブが開いてから、
    混合気が燃焼室内に流入されるまでには、「慣性」のために僅かな
    遅れができます。

    これは、
    混合気に充分な慣性力(勢い)がつくまで多少のタイム・ラグがあ
    るということです。

    この「慣性」を利用して、
    新鮮な混合気をできるだけ多く吸入するためや、また一方でバルブ
    の加速度(開閉速度)を必要以上に大きくしないために、

    クランク角に対して、
    可能な限り大きい角度(永い時間)で、吸入バルブが開いているこ
    とが理想的なのです。

    それにより吸入される
    混合気の圧力(慣性の力)を利用して、燃焼室内の残留ガスを排気
    ポート側に押しだしてしまうような、
  
    いわゆる燃焼室内の「掃気効果」scavenging effect も望まれる。   
        
    ※これらの機能を
    充分発揮させるには、いずれも吸入バルブの開く時期(バルブ・タ
    イミング)を「上死点前」にもってくる必要があるのです。

    一般的に、エンジンが高速になるほど吸入バルブの開く時期を上死
    点より早くする理由がここにもあるわけですね。

    ただ、あまり早く吸入弁が開くと、シリンダー内の残留ガスが吸気
    系に吹き返すことにもなって。

    これは吸入する混合気に勢い(慣性)が少ないとき、つまりエンジ
    ンが低速で回っている時などに起きやすい。


    以上のような相反する条件を
    満足させることのできる、「バルブ・タイミング」に設定してやる
    ことが要求されているのです。
             
                         ‐次回へ続きます‐
                                     
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    大空に夢を!

    ☆ やさしい航空工学【基礎編  


    ここでは、

    筆者のライフスタイルであり、また専門分野の一つでもある、
    航空工学について少し遊んでみたいと思います。
    
    どうぞ楽しんでください。

    今日のテーマです。
    
    航空力学【性能】

    ここで述べられている事柄は、
    なにも航空工学に限られていることではありません。

    お伝えする項目には、
    とうぜん自動車工学にも応用できる内容を数多く含んでおります。

    そのような視点から、

    とかく専門的になりがちな文章は、極力さけてご説明をくわえてい
    くつもりです。


    ◇[滑空性能]gliding performance

    前の号でお伝えした、
    飛行中の航空機に作用する「四つの力」を思い出してください。

    いま水平直線飛行をしている
    航空機のエンジンが、何らかの理由で停止したとします。

    これは、四つの力の一つである、「推力」が失われたことを意味し
    ていますね。

    この場合、航空機は自らの力(推力)で進むことができないので、
    翼に必要な「揚力」も発生せず浮くことさえ難しい。

    その結果、航空機は「重力」によって降下をはじめます。
    それも急降下であったり落下に近い状態では、とても安全な飛行と
    は言えません。
    
    そこで要求されるのが、[滑空性能]になるのですが。
        
    ▽この[滑空性能]に求められる条件は、
    ただ一つ「滑空距離」gliding distance の「長さ」と言えます。

    ※この推力を失った航空機を、
    できるだけ長い距離を滑空させるためには、揚力と抗力の比「揚抗
    比」lift/drag ratio を「最大」にすることであって。

    その条件を満たすために、
    「滑空角を最小」にした、つまり地表に対して出来るだけ浅い角度
    の飛行姿勢で降下をする。。

    ▽推力のない航空機は、
    ある角度から自らの重力(重量)で降下を始めるのですが、この角
    度のことを「滑空角」gliding angle と呼んでいます。
   
    ▽またある高度(垂直距離)にいる航空機が、
    滑空飛行によって到達できる距離(水平距離)との比の逆数を「滑
    空比」glide ratio と言い。
  
    この「滑空比」が大きいほど「滑空距離」の長い安定した機体とい
    えるのですね。

    ▽つまり、今のこの高度から「滑空飛行」でどれくらいの距離まで
    いけるのかと言うことなのです。


    たとえば、
    「滑空比」が 30:1 の航空機であれば、高度1000mから滑
    空を始めた場合30,000mの距離まで飛行できると言えます。

    ※エンジントラブル等で
    不時着しようとする場合、「滑空比」が大きければそれだけ長い距
    離を飛行できるので、より「安全な不時着地」の選択条件が有利に
    なってくる。

    また着陸のために、出力を絞って降下する場合などにも、この「滑
    空比」が大きく貢献しているのです。

                          -次回に続く-
      
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    ちょっと一息!

    《喫茶室》

    ◇[ウェルナー・メルダース] Werner Molders
              
    ‐美形の撃墜王‐

    1941年、11月も暮れようとしている・・。

    首都ベルリンは、例年になく早い冬の到来を告げる、冷たい雨に包
    まれていた。

    それだけではない。

    ベルリン市民をいっそう、暗い、悲しい気持ちにさせている最大の
    理由が他にある。

    ドイツ空軍省から、
    ウィルヘルム街を北へ向かう、荘厳な国葬の列があった。

    葬送曲を奏する、
    ドイツ空軍の軍楽隊に導かれ、おもむろに進む列の中・・・・。

    赤、白、黒のドイツ軍旗に包まれて、砲車の台上に置かれた棺・・が。

    見送る人々の、涙の向こうに滲んで見えた。。
    ・・・・・・。
        
    遡って1931年当時、空軍を持たないドイツにおいて、
    のちの大エース、メルダースは陸軍へ入隊。

    それから5年、1936年のドイツは、
    フランコ将軍率いる反政府軍を支援するために、
    設立間もない空軍と共に、スペイン動乱に参戦する。

    メルダース自身も、ドイツ空軍の第88戦闘飛行隊、第3中隊長を
    アドルフ・ガーランドから任され。

    ドイツ最新鋭!戦闘機 Bf109を駆って、政府軍機14機を撃墜し、
    一躍!義勇軍コンドル軍団のエースとなる。
   
    のちに第二次世界大戦が始まるや、
    西部戦線でイギリスそれにフランス軍機を相手に68機を、さらに
    東部戦線でも33機を撃墜している。
    
    これからも分かるように、
    東部戦線(独ソ戦争)が始まるまえに、メルダースはすでに68機
    のスコアを上げていたことになる。

    しかも特筆すべきは、
    その戦果の内容で、イギリスの誇る名機スピットファイア、それに
    性能では劣るハリケーンも同率で撃墜していて。

    とくに性能の低いハリケーンだけを狙った結果ではないことが証明
    されている。

    言いかえるなら、東部戦線での戦績がなくてもイギリス軍機だけで
    十分に100機撃墜は不可能ではなかった。

    またメルダースの知性をたたえる
    仲間達の評価はきわめて高く、とくに部下からはファッティ(親父)
    と敬愛をこめて呼ばれ、その信頼の深さが窺える。


    しかし、
    メルダースは当時ドイツ空軍の広報誌「アドラー」の文中に、学生
    時代の自分は、けっして優等生ではなかったと記している。

    洋の東西を問わず、優れたファイターパイロットは必ずしも優等生
    とは言えなかったようですね。

    話をもどして、スペイン内戦以来、
    メルダースは戦闘機の改良にも貢献しながら、一方では戦闘機での
    編隊における戦技にも傾注し。

    いくつかの戦法を編みだしている。

    中でも、2機で組む編隊最小単位の「ロッテ」を比較的ゆるく(離
    れて)組み、

    この「ロッテ」をさらに組み合わせ、2組の4機「シュワルム」で
    挑む戦法は、あまりにも有名。


    メルダースの人間味を垣間見る、こんなエピソードがある。。

                             ‐hiro‐

                          ‐次回へ続きます‐
    
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     初心者のための車講座。
                  
   ◎ 車を知る【ホイール編】 
  
    ■【ホイールの基礎知識・続編】

    タイヤとサスペンションを仲介するパーツで、デザインや材質にも
    様々な種類が用いられています。

    ◆[ホイールバランス]Wheel balance

    ホイールとタイヤは
    組んだままの状態では、その重心(重さの中心)の位置は必ずしも、
    回転軸の中心(ホイールの中心)にあるとは限らない。

    もし、この重心位置が回転の芯から外れていた場合、そのズレた分
    だけ、ホイールは「偏心回転」をすることになり。

    振動やガタツキ、タイヤの偏磨耗、ステアリングの不安定、等々。

    場合によっては、
    走行安定性に著しく悪影響をおよぼしかねない。

    ※いいかえれば、
    重心がホイールの中心から、どの「方向」に、どれだけの「距離」
    ズレたのか、そのズレた方向に、ズレた分だけ強い「遠心力」が働
    くと言うことです。

    ▼これを解消するのに、
    この狂いの「大きさ」に見合った量の「重さ」を正反対の位置に足
    してやる。
    
    ズレた分を相殺することで、「重心」を「回転の中心」に合わせる
    ことが出来るのです。
    
    ホイールの内側、またはリムの外縁などに鉛の錘が付いているのを
    よく目することがあると思います。

    これを「バランスウエイト」と言って、
    この錘の大きさ(重さ)を変えて「偏心」を調整しているのです。
    
    
    「安全走行」のためにも、是非「ホイールバランス」は、きちんと
    おこなって下さい。

    とくに高速走行されるときは、絶対!必要ですよ。


             今日はここまでです
                   おつかれさまでした。
                         
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    〓 編集後記 〓

    子供の頃、
    5月といえば、一年の中でも9月と並んで、最も過ごしやすい季節
    と思っていたのですが。

    晴れた日は、いっきに気温も上がり真夏日のような陽気になったと
    おもえば。

    また雨の日など、
    涼しさをこえて肌寒ささえ感じる、今日この頃です。

    四季折々に、その時々の季節感を存分に堪能したいと思うのは、私
    だけだろうか。

    あの頃が本当に懐かしい。。
                     
                             ‐hiro‐

                   ‐平成20年05月27日 23時30分‐
              
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         こばやし ひろふみ
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