[ 車の理論と、基礎知識が自然と身につく情報誌!]

 車の事典
    中高年と初心者のための『車読本』

             by CARLIVE SEEKER『車は1/1の模型だね』
 
                         
                      − 第45号 2006.10.18 −   
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  ☆皆様、お元気でしたか!!
      ご購読いつもありがとうございます。
                      
         そして、はじめての方には、ご登録ありがとうございます。
 
    ◇これからも皆様方に、愛され、支持される、
     メールマガジンを配信できるよう、努力してまいります。

     よろしくお願いいたします。
           
    ‐このメールマガジンは‐

    難しいクルマの専門用語を、極力やさしい言葉におきかえて
    中高年、初心者の皆様方にも、ご理解していただけるように
    お伝えしているつもりですが、

    時に、専門的な用語をつかったほうが、ご説明しやすい場合
    もあります。

    そのような場合でも、用語の解説を付記していきますので、
    ご安心ください。

    また、このメールマガジンを読み進めていくことで、
    自然と専門知識を身につけ、ご家族やお友達に、ちょっぴり
    うんちくを傾けられてはいかがでしょうか。

            [等幅フォントでお読みください]

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    それでは、今日もご一緒に!
  
    ★ やさしい自動車工学【エンジン編】
  
    前回の「ノッキング現象」は、如何でしたか?

    ノッキングの発生時における、
    焔の「伝播速度」の速さには驚かれたと思います。

    そしてカンカンと高く発する、

    異常音の原因が上記の理由による、高周波の「圧力波」によって
    起こされていたのですね。
        
    ◆またエンド・ガス(末端の未燃焼ガス部分)が
    高圧、高温に圧縮されたとき、燃焼室内に「ホット・スポット」が
    発生していると、そこに触れたエンド・ガスは「熱面着火」をして
    ノッキングの原因にもなります。

    注。ホット・スポット hot spot

      ・燃焼室内に異常発生した、極小の熱せられた部分
    
    ◆一方、「デトネーション」detonation と呼ばれる現象は、

    たとえば、混合気を密閉した細長い管の一方の端で、混合気に点火
    すると、もう一方の端へ焔の伝播が進んでいき、その末端近くで
    発生する現象です。

    「異常燃焼」の一種類で、そのときの焔の伝播速度は
    じつに毎秒2000m〜3500mにも達することがあるのです。

    前記、ノッキングの比ではないですね。

    また事実、ノッキングが起きるときに、
    デトネーション現象が発生していることもあり、原因の一つにあげ
    られています。
     
    それでは、今日のテーマ。

    ◆【ノッキング】knocking

    2〕[ノッキングによる障害]

    ノッキングの発生が
    ごく僅かな場合は、とくに目立った傷害はありません。

    それに点火時期が
    遅れすぎているときは、エンジン出力の低下や、燃料消費率の悪化
    などが挙げられますが、

    ※ノッキングの程度が
     小さければ、『実用上むしろ出力は増加する』のです。
   
    理由はお解りですね?前の号をもう一度、熟読してみてください。

    このことからも、
    点火時期の調整は、もちろんエンジンの規定(推奨)値にすること
    が基本ですが、

    ◆一般的には、
    ごく微量のノッキングを発生する程度に、設定した方が良いと言え
    るのです。

    ◆ただし、
    ノッキングの程度が大きい場合には、
    様々な悪影響をエンジンに及ぼすので、「点火時期」の調整や
    圧縮比に見合った「オクタン価」の燃料を使用するなどの方法で、

    ノッキングを抑えなければなりません。
    
    ※激しいノッキングを発生すると、
    末端の未燃焼ガスは、前述の通り一瞬にして燃えるので、混合気の
    燃焼時間は極端に短くなり、

    いっきに、「圧力の増加」と「温度の上昇」を起こします。
    
    ◆またこれによって発生した、
    高周波の「圧力波」は、燃焼室の壁面(ピストンも含みます)への
    熱の伝わり方が早くなり、

    発生した「熱エネルギー」の大部分が「損失熱量」として失われて
    いくのです。

    ◆このことで、
    エンジンの「出力は低下」し、またシリンダーヘッドやピストン
    ヘッドの「温度が急上昇」するので、

    とうぜん「吸入効率」も悪くなり、「圧力振動」は「摩擦損失」を
    増大させ、さらに出力の低下も免れません。

    このようにして、
    ノッキング現象によるエンジンへの悪影響は、深刻な問題である事
    がご理解いただけたと思います。
               
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    ☆ やさしい航空工学【航空力学編】
    
    ここでは、
    筆者のライフスタイルであり、また専門分野の一つでもある、
    航空工学について少し遊んでみたいと思います。
    
    どうぞ楽しんでください。

    前回までの高揚力装置は、いかがでしたか?
    
    航空機という
    巨大な質量をもった物体を、少ないエネルギーで且つ安全に利用
    するために、様々な創意と工夫がおこなわれていて、

    その一つに前述の「高揚力装置」もあるわけです。
  
    今日のテーマです。
    
    ◇【翼型理論の基礎・高速機の翼型】
    
    航空機の飛行速度において、
    遷音速(音速前後のマッハ数0.8〜1.2)飛行では、障害も多いこと
    から、

    音速を超えるマッハ2クラスの航空機が、俄かに脚光を浴びるように
    なりました。

    しかしその一方で、
    「超音速飛行」に必ず伴うやっかいな現象、ご存知の「衝撃波」の
    問題です。

    そのために
    「遷音速飛行」でも、これらの問題を解決するために考えられたのが、
    翼型を改良して衝撃波の発生を防ぐ方法です。

    またこれによって、飛行に要する時間も短くなり経済的なメリット
    も大きい画期的な方法と言えるでしょう。
   
    それでは次に翼型について述べていきます。

    ◇[翼型の種類]

    ・「層流翼」laminer airfoil

    先の号でもご説明したように、
    乱流より層流のほうが「摩擦抵抗」は、少ないですね。

    そのことから、
    翼の上面を流れる気流を、できるだけ翼後縁まで層流の状態で流し
    てやればよいわけで、

    翼の前縁半径を小さく、
    それに最大翼厚も小さくして(これは典型的な高速機の翼型です)
    その位置も翼弦線上の後方に持っていく方法です。

    ◇つまり、
    航空機の翼における「抵抗力」は、その大部分が翼の上面を流れる
    空気(気流)との「摩擦」であるから、

    ※この「摩擦抗力」を減らすために、
    
    翼表面を流れる気流の圧力の増加をおさえて、翼上面の境界層での
    層流から乱流にかわる点を、できるだけ翼後縁に近くすることで、

    解決を図ったのがこの翼型です。
    
    ◇したがって上述の通り、

    ・前縁半径は小さい(翼の前縁が薄く尖っている)
    ・最大翼厚(主翼の最も厚い部分)位置が40〜50%(翼弦の中央付近
     が一番厚くなる)
    ・翼厚比は小さい
    
    以上、主な特徴があります。
                
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    ちょっと一息!

    《喫茶室》

    ◇[ル・マン]Le Mans 

    筆者は、このル・マンのもつ響きが好きだ。

    一年で最も日の長い、
    夏至の週末に開催される「自動車レース・三大イベント」の一つ。

    ◇ル・マン24時間耐久レース! 24heures du mans.

    「モータースポーツファン」ならずとも、おそらくこの名はご存知
    でしょう。
   
    進取の気象(気性)をもつ、フランス国民の夢と遊び心で始まった
    このイベントも、当時は世界で一番「偉大な草レース」と揶揄され
    たと言う。

    −メルセデスの悲劇−
    
    遡って、1955年6月11日午後4時。

    マッジ伯が振り下ろす、
    トリコロール(三色旗=フランス国旗)の合図とともに、
    レースの火ぶたは切っておとされた。

    伝統のル・マン式スタートである。

    これから始まる長い戦い!に臨む儀式を終えて、40数台が先を争い
    ながら一斉にコースに飛びだしていく。

    予想通り、
    勇猛果敢!マイク・ホーソンのドライブするジャガーをトップに、
    それを追う冷静沈着、

    正確無比にメルセデスを駆る、ファン-マヌエル・ファンジオとの
    デッドヒート!が展開。

    レース開始から、
    2時間20数分後、両者はすでに他車を1周リードしている。
    当時、サルテ・サーキット全長13.461kmの周回において。

    まさに驚異!のスピードである。
    はやくも白熱!の様相を呈してきた。

    スタンド前、一台のジャガーと三台のメルセデスが雪崩のように
    駆け込んでくる。
        
    トップを走るホーソンが、
    先を行く周回遅れのオースチン・ヒーレーを抜きにかかる、
    さらに、メルセデスがこれに続く・・・・。

    そして、その直後、
    悲劇が起きた。信じられない一瞬の出来事が。
    
    ヒーレーをパスした瞬間、
    ホーソンが何を思ったか、突然?ヒーレーの進路をさえぎり、
    ピットインを敢行!何の合図もなしに・・・・。
    
    驚いたのは、
    もちろんヒーレーのドライバー、ランス・マックリーンである。
    巧みに触発は避けたものゝ、すでに車はコントロールを失い、
    コース上を滑っていく。

    ここで、時計が止まってくれたなら・・・・
    しかし悲劇へのカウントダウンは続いている。。。

    さらにホーソンを猛追して飛び込んできた、一台のメルセデス。   
    当時において、220km/hオーバーは、超高速!に違いはない。

    目の前に突然立ちふさがる、
    マックリーンのヒーレーを、かわす術もなく。

    そのまま接触、
    後方に危険をうながす片手を挙げ、ピット正面の壁に激突!炎上。

    さらに木の葉のように舞い上がり、

    見守る大観衆の中へ・・・・。

    メルセデスのドライバー、
    ピエール・ルヴェーと観客、スタッフを含む、80人以上の尊い命が
    犠牲になる。

    ブロンドの美しいミセス・ルヴェーの目前で。。
     
    一方のヒーレーは、
    そのままコースを横切り、整理に当たっていた警官の両足をひきち
    ぎってようやく止まる。

    この歴史に残る、大参事にもかかわらず、なおレースは続いていく。
    
    スターリング・モス、
    ファン‐マヌエル・ファンジオ等のメルセデス陣営は、完全に独走
    態勢に入っていた。

    もはや、ジャガーは脅威ではなかった。

    しかし、事故発生から7時間以上、
    さらに、レース開始より10時間以上経った真夜中、、
    突然!メルセデスのチームはレースを棄権。

    全車を引き上げ、その夜にドイツ、シュツットガルトへ向かう・・・。

    それから、30数年間。
    ル・マンからメルセデスの姿が消えた。。

                         ‐編集後記へ続く‐

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    ※初心者のための車講座
                 
    ◎車を知る【構造編・シャーシー】

    ◆[サスペンション]suspension

    サスペンションには、
    大きく分けて、「独立懸架方式」と「リジッドアクスル方式」の
    二つがあることは、前回すでに述べた通りです。

    ◆「独立懸架方式」independent suspension systems
    
    その名の通り、
    左右の車輪がそれぞれ独立して、路面からの衝撃や、クルマの走行
    状態から受ける姿勢の変化(例えば、コーナリング時における横G
    からのローリングポイントの移動)に対応し、
     
    乗り心地およびクルマの挙動を制御して、安定した走行姿勢を保つ
    働きをする。

    またそれによって、
    タイヤの路面にたいする接地性も増すことから、
    エンジンの回転エネルギー(駆動力=トルク)の伝達ロスを軽減し
    て、駆動輪に有効に伝える働きもしています。

    注。ローリングポイント rolling point

      ▼ロールセンター roll center とも言い。

      クルマの走行中、とくに旋回中において横からの力(遠心力=
      横のG)をうけてクルマが傾く。

      いわゆる、ロールするするときの回転モーメントの中心になる
      点をいう。
    
      また横の勾配がついた傾斜地、わかりやすく言えば、ある角度
      (カント cant)をもったバンクを想像してください。

      そのバンク上でクルマを静止させ、仮に傾斜角を変化させる事
      ができるとして、角度を大きくとっていくと、クルマは次第に
      安定を失って横滑りして下がってくるか、

      もしくは、横転または回転して落ちてくる。

      このときの
      クルマの踏ん張り度を、決める条件の一つにロールセンターの
      位置が影響してくるのです。

      よく間違えられやすいのに、
      質量の中心を表わす重心と勘違いされるのですが違いますね。
     
      話が横道にそれましたが、参考までにどうぞ。

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    謹告。

    このメールマガジンの、読者様のなかで、
  
    1960年代当時、日産自動車追浜工場、第三実験課。(通称Y‐3課)
    に所属されていた方が、もしおられましたら、

    是非、是非、ご一報いただきたい。

    このメールマガジン紙上へ、三顧の礼をもってお迎えいたします。

    当時、日本は国をあげ、まさに重厚長大、怒涛の勢いで経済発展を
    推進してまいりました。

    自動車業界もその一翼を担い、国のキー・インダストリーとして、
    大いに躍進を遂げました。

    日産も、業界初のデミング賞を受賞するなど、
    「技術の日産」として確固たる地位をきずいたのです。
 
    誤解を恐れずに述べさせていただくならば、最も華々しく、パワー
    に満ち溢れていた頃ではないだろうか。

    後の日産の、多方面での活躍をみるまでもなく。

    そのなかにあって、

    Y−3課の存在は知られていても、その秘匿性ゆえ内容は一般の知る
    ところに非ず。

    しかし、そこから世におくりだされた名車の数々は、市場を席巻し
    紛うことなく、その実力を知らしめたのであります。

    今日、世界に冠たる自動車王国を築けたのも、当時の先人たちの、
    血のにじむ努力の賜物であります。

    激動の同時代をふりかえって、大いに語り合おうではありませんか。

    ご連絡お待ちしております。 
             
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    〓 編集後記 〓

    今回も《喫茶室》の記事に関連して続けます。

    では、何故?
    メルセデスは、勝利を放棄してまでル・マンを去ったのだろうか。
    
    実はこんなエピソードがあった。

    快走!を続けるメルセデス陣営、深夜のピットに一本の電話が入った。

    クルー責任者の握る、受話器の向こうから聞こえてくる、
    声の主(あるじ)は・・・

    メルセデスの生まれた地、ドイツ本国は、シュツットガルトの本社から。。


       『君達は、すでに数時間も勝利をたもっている。
                  もう充分ではないか、レースを止めなさい。』

           
                                   ‐hiro‐

                 ‐平成18年 10月 18日 23時18分‐

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    ◇さらに続けて。
 
    いま、この原稿を書きながら…ジャズを聞いています。
    筆者、お気に入りのサイトから。
    
    ⇒ http://www.williamclaxton.com/movie.html

    ル・マンをテーマにした映画。
    と、言えば、もちろん『栄光のル・マン』ですね。

    当然、映画の内容は言うに及ばず。
    最大の関心事は..やはり彼。
    主役を演じた、マックィーン「Steve McQueen」に他ならない。

    今から50年位?前になると思う、テレビのシリーズ番組で、
    実在した、賞金稼ぎのジョッシュ・ランダル役を演じた「拳銃無宿」
    を観て以来、熱烈!なファンを自認しています。

    ライフルの銃身と銃床を、短く切り落として作られた特製の銃。
    ランダル・カスタムはあまりにも有名。

    とにかく、理屈抜きでカッコ!よかった。

    今夜はその話ではなくて、

    ★ジャズを撮るカメラマン「William Claxton」のページです。
           ↓ ↓ ↓
       http://www.williamclaxton.com/movie.html

    サイト内のコンテンツをクリックして、いろいろ楽しんでください。

    私は、作品集 portfolio 内の、「McQUEEN GALLERY」を開いて、
    右のサムネイルから、

    お気に入り画像をアップして、当時に思いを馳せながら聞いています。


    秋の夜長 …
    部屋の灯かりを落として。。。

           では心ゆくまで‥‥お楽しみください。
                                       
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