[ 車の理論と、基礎知識が自然と身につく情報誌!]
車の事典
中高年と初心者のための『車読本』
by CARLIVE SEEKER『車は1/1の模型だね』
− 第45号 2006.10.18 −
──────────────────────────────────────────
☆皆様、お元気でしたか!!
ご購読いつもありがとうございます。
そして、はじめての方には、ご登録ありがとうございます。
◇これからも皆様方に、愛され、支持される、
メールマガジンを配信できるよう、努力してまいります。
よろしくお願いいたします。
‐このメールマガジンは‐
難しいクルマの専門用語を、極力やさしい言葉におきかえて
中高年、初心者の皆様方にも、ご理解していただけるように
お伝えしているつもりですが、
時に、専門的な用語をつかったほうが、ご説明しやすい場合
もあります。
そのような場合でも、用語の解説を付記していきますので、
ご安心ください。
また、このメールマガジンを読み進めていくことで、
自然と専門知識を身につけ、ご家族やお友達に、ちょっぴり
うんちくを傾けられてはいかがでしょうか。
[等幅フォントでお読みください]
──────────────────────────────────────────
それでは、今日もご一緒に!
★ やさしい自動車工学【エンジン編】
前回の「ノッキング現象」は、如何でしたか?
ノッキングの発生時における、
焔の「伝播速度」の速さには驚かれたと思います。
そしてカンカンと高く発する、
異常音の原因が上記の理由による、高周波の「圧力波」によって
起こされていたのですね。
◆またエンド・ガス(末端の未燃焼ガス部分)が
高圧、高温に圧縮されたとき、燃焼室内に「ホット・スポット」が
発生していると、そこに触れたエンド・ガスは「熱面着火」をして
ノッキングの原因にもなります。
注。ホット・スポット hot spot
・燃焼室内に異常発生した、極小の熱せられた部分
◆一方、「デトネーション」detonation と呼ばれる現象は、
たとえば、混合気を密閉した細長い管の一方の端で、混合気に点火
すると、もう一方の端へ焔の伝播が進んでいき、その末端近くで
発生する現象です。
「異常燃焼」の一種類で、そのときの焔の伝播速度は
じつに毎秒2000m〜3500mにも達することがあるのです。
前記、ノッキングの比ではないですね。
また事実、ノッキングが起きるときに、
デトネーション現象が発生していることもあり、原因の一つにあげ
られています。
それでは、今日のテーマ。
◆【ノッキング】knocking
2〕[ノッキングによる障害]
ノッキングの発生が
ごく僅かな場合は、とくに目立った傷害はありません。
それに点火時期が
遅れすぎているときは、エンジン出力の低下や、燃料消費率の悪化
などが挙げられますが、
※ノッキングの程度が
小さければ、『実用上むしろ出力は増加する』のです。
理由はお解りですね?前の号をもう一度、熟読してみてください。
このことからも、
点火時期の調整は、もちろんエンジンの規定(推奨)値にすること
が基本ですが、
◆一般的には、
ごく微量のノッキングを発生する程度に、設定した方が良いと言え
るのです。
◆ただし、
ノッキングの程度が大きい場合には、
様々な悪影響をエンジンに及ぼすので、「点火時期」の調整や
圧縮比に見合った「オクタン価」の燃料を使用するなどの方法で、
ノッキングを抑えなければなりません。
※激しいノッキングを発生すると、
末端の未燃焼ガスは、前述の通り一瞬にして燃えるので、混合気の
燃焼時間は極端に短くなり、
いっきに、「圧力の増加」と「温度の上昇」を起こします。
◆またこれによって発生した、
高周波の「圧力波」は、燃焼室の壁面(ピストンも含みます)への
熱の伝わり方が早くなり、
発生した「熱エネルギー」の大部分が「損失熱量」として失われて
いくのです。
◆このことで、
エンジンの「出力は低下」し、またシリンダーヘッドやピストン
ヘッドの「温度が急上昇」するので、
とうぜん「吸入効率」も悪くなり、「圧力振動」は「摩擦損失」を
増大させ、さらに出力の低下も免れません。
このようにして、
ノッキング現象によるエンジンへの悪影響は、深刻な問題である事
がご理解いただけたと思います。
──────────────────────────────────────────
☆ やさしい航空工学【航空力学編】
ここでは、
筆者のライフスタイルであり、また専門分野の一つでもある、
航空工学について少し遊んでみたいと思います。
どうぞ楽しんでください。
前回までの高揚力装置は、いかがでしたか?
航空機という
巨大な質量をもった物体を、少ないエネルギーで且つ安全に利用
するために、様々な創意と工夫がおこなわれていて、
その一つに前述の「高揚力装置」もあるわけです。
今日のテーマです。
◇【翼型理論の基礎・高速機の翼型】
航空機の飛行速度において、
遷音速(音速前後のマッハ数0.8〜1.2)飛行では、障害も多いこと
から、
音速を超えるマッハ2クラスの航空機が、俄かに脚光を浴びるように
なりました。
しかしその一方で、
「超音速飛行」に必ず伴うやっかいな現象、ご存知の「衝撃波」の
問題です。
そのために
「遷音速飛行」でも、これらの問題を解決するために考えられたのが、
翼型を改良して衝撃波の発生を防ぐ方法です。
またこれによって、飛行に要する時間も短くなり経済的なメリット
も大きい画期的な方法と言えるでしょう。
それでは次に翼型について述べていきます。
◇[翼型の種類]
・「層流翼」laminer airfoil
先の号でもご説明したように、
乱流より層流のほうが「摩擦抵抗」は、少ないですね。
そのことから、
翼の上面を流れる気流を、できるだけ翼後縁まで層流の状態で流し
てやればよいわけで、
翼の前縁半径を小さく、
それに最大翼厚も小さくして(これは典型的な高速機の翼型です)
その位置も翼弦線上の後方に持っていく方法です。
◇つまり、
航空機の翼における「抵抗力」は、その大部分が翼の上面を流れる
空気(気流)との「摩擦」であるから、
※この「摩擦抗力」を減らすために、
翼表面を流れる気流の圧力の増加をおさえて、翼上面の境界層での
層流から乱流にかわる点を、できるだけ翼後縁に近くすることで、
解決を図ったのがこの翼型です。
◇したがって上述の通り、
・前縁半径は小さい(翼の前縁が薄く尖っている)
・最大翼厚(主翼の最も厚い部分)位置が40〜50%(翼弦の中央付近
が一番厚くなる)
・翼厚比は小さい
以上、主な特徴があります。
──────────────────────────────────────────
ちょっと一息!
《喫茶室》
◇[ル・マン]Le Mans
筆者は、このル・マンのもつ響きが好きだ。
一年で最も日の長い、
夏至の週末に開催される「自動車レース・三大イベント」の一つ。
◇ル・マン24時間耐久レース! 24heures du mans.
「モータースポーツファン」ならずとも、おそらくこの名はご存知
でしょう。
進取の気象(気性)をもつ、フランス国民の夢と遊び心で始まった
このイベントも、当時は世界で一番「偉大な草レース」と揶揄され
たと言う。
−メルセデスの悲劇−
遡って、1955年6月11日午後4時。
マッジ伯が振り下ろす、
トリコロール(三色旗=フランス国旗)の合図とともに、
レースの火ぶたは切っておとされた。
伝統のル・マン式スタートである。
これから始まる長い戦い!に臨む儀式を終えて、40数台が先を争い
ながら一斉にコースに飛びだしていく。
予想通り、
勇猛果敢!マイク・ホーソンのドライブするジャガーをトップに、
それを追う冷静沈着、
正確無比にメルセデスを駆る、ファン-マヌエル・ファンジオとの
デッドヒート!が展開。
レース開始から、
2時間20数分後、両者はすでに他車を1周リードしている。
当時、サルテ・サーキット全長13.461kmの周回において。
まさに驚異!のスピードである。
はやくも白熱!の様相を呈してきた。
スタンド前、一台のジャガーと三台のメルセデスが雪崩のように
駆け込んでくる。
トップを走るホーソンが、
先を行く周回遅れのオースチン・ヒーレーを抜きにかかる、
さらに、メルセデスがこれに続く・・・・。
そして、その直後、
悲劇が起きた。信じられない一瞬の出来事が。
ヒーレーをパスした瞬間、
ホーソンが何を思ったか、突然?ヒーレーの進路をさえぎり、
ピットインを敢行!何の合図もなしに・・・・。
驚いたのは、
もちろんヒーレーのドライバー、ランス・マックリーンである。
巧みに触発は避けたものゝ、すでに車はコントロールを失い、
コース上を滑っていく。
ここで、時計が止まってくれたなら・・・・
しかし悲劇へのカウントダウンは続いている。。。
さらにホーソンを猛追して飛び込んできた、一台のメルセデス。
当時において、220km/hオーバーは、超高速!に違いはない。
目の前に突然立ちふさがる、
マックリーンのヒーレーを、かわす術もなく。
そのまま接触、
後方に危険をうながす片手を挙げ、ピット正面の壁に激突!炎上。
さらに木の葉のように舞い上がり、
見守る大観衆の中へ・・・・。
メルセデスのドライバー、
ピエール・ルヴェーと観客、スタッフを含む、80人以上の尊い命が
犠牲になる。
ブロンドの美しいミセス・ルヴェーの目前で。。
一方のヒーレーは、
そのままコースを横切り、整理に当たっていた警官の両足をひきち
ぎってようやく止まる。
この歴史に残る、大参事にもかかわらず、なおレースは続いていく。
スターリング・モス、
ファン‐マヌエル・ファンジオ等のメルセデス陣営は、完全に独走
態勢に入っていた。
もはや、ジャガーは脅威ではなかった。
しかし、事故発生から7時間以上、
さらに、レース開始より10時間以上経った真夜中、、
突然!メルセデスのチームはレースを棄権。
全車を引き上げ、その夜にドイツ、シュツットガルトへ向かう・・・。
それから、30数年間。
ル・マンからメルセデスの姿が消えた。。
‐編集後記へ続く‐
──────────────────────────────────────────
※初心者のための車講座
◎車を知る【構造編・シャーシー】
◆[サスペンション]suspension
サスペンションには、
大きく分けて、「独立懸架方式」と「リジッドアクスル方式」の
二つがあることは、前回すでに述べた通りです。
◆「独立懸架方式」independent suspension systems
その名の通り、
左右の車輪がそれぞれ独立して、路面からの衝撃や、クルマの走行
状態から受ける姿勢の変化(例えば、コーナリング時における横G
からのローリングポイントの移動)に対応し、
乗り心地およびクルマの挙動を制御して、安定した走行姿勢を保つ
働きをする。
またそれによって、
タイヤの路面にたいする接地性も増すことから、
エンジンの回転エネルギー(駆動力=トルク)の伝達ロスを軽減し
て、駆動輪に有効に伝える働きもしています。
注。ローリングポイント rolling point
▼ロールセンター roll center とも言い。
クルマの走行中、とくに旋回中において横からの力(遠心力=
横のG)をうけてクルマが傾く。
いわゆる、ロールするするときの回転モーメントの中心になる
点をいう。
また横の勾配がついた傾斜地、わかりやすく言えば、ある角度
(カント cant)をもったバンクを想像してください。
そのバンク上でクルマを静止させ、仮に傾斜角を変化させる事
ができるとして、角度を大きくとっていくと、クルマは次第に
安定を失って横滑りして下がってくるか、
もしくは、横転または回転して落ちてくる。
このときの
クルマの踏ん張り度を、決める条件の一つにロールセンターの
位置が影響してくるのです。
よく間違えられやすいのに、
質量の中心を表わす重心と勘違いされるのですが違いますね。
話が横道にそれましたが、参考までにどうぞ。
──────────────────────────────────────────
謹告。
このメールマガジンの、読者様のなかで、
1960年代当時、日産自動車追浜工場、第三実験課。(通称Y‐3課)
に所属されていた方が、もしおられましたら、
是非、是非、ご一報いただきたい。
このメールマガジン紙上へ、三顧の礼をもってお迎えいたします。
当時、日本は国をあげ、まさに重厚長大、怒涛の勢いで経済発展を
推進してまいりました。
自動車業界もその一翼を担い、国のキー・インダストリーとして、
大いに躍進を遂げました。
日産も、業界初のデミング賞を受賞するなど、
「技術の日産」として確固たる地位をきずいたのです。
誤解を恐れずに述べさせていただくならば、最も華々しく、パワー
に満ち溢れていた頃ではないだろうか。
後の日産の、多方面での活躍をみるまでもなく。
そのなかにあって、
Y−3課の存在は知られていても、その秘匿性ゆえ内容は一般の知る
ところに非ず。
しかし、そこから世におくりだされた名車の数々は、市場を席巻し
紛うことなく、その実力を知らしめたのであります。
今日、世界に冠たる自動車王国を築けたのも、当時の先人たちの、
血のにじむ努力の賜物であります。
激動の同時代をふりかえって、大いに語り合おうではありませんか。
ご連絡お待ちしております。
──────────────────────────────────────────
〓 編集後記 〓
今回も《喫茶室》の記事に関連して続けます。
では、何故?
メルセデスは、勝利を放棄してまでル・マンを去ったのだろうか。
実はこんなエピソードがあった。
快走!を続けるメルセデス陣営、深夜のピットに一本の電話が入った。
クルー責任者の握る、受話器の向こうから聞こえてくる、
声の主(あるじ)は・・・
メルセデスの生まれた地、ドイツ本国は、シュツットガルトの本社から。。
『君達は、すでに数時間も勝利をたもっている。
もう充分ではないか、レースを止めなさい。』
‐hiro‐
‐平成18年 10月 18日 23時18分‐
──────────────────────────────────────────
◇さらに続けて。
いま、この原稿を書きながら…ジャズを聞いています。
筆者、お気に入りのサイトから。
⇒ http://www.williamclaxton.com/movie.html
ル・マンをテーマにした映画。
と、言えば、もちろん『栄光のル・マン』ですね。
当然、映画の内容は言うに及ばず。
最大の関心事は..やはり彼。
主役を演じた、マックィーン「Steve McQueen」に他ならない。
今から50年位?前になると思う、テレビのシリーズ番組で、
実在した、賞金稼ぎのジョッシュ・ランダル役を演じた「拳銃無宿」
を観て以来、熱烈!なファンを自認しています。
ライフルの銃身と銃床を、短く切り落として作られた特製の銃。
ランダル・カスタムはあまりにも有名。
とにかく、理屈抜きでカッコ!よかった。
今夜はその話ではなくて、
★ジャズを撮るカメラマン「William Claxton」のページです。
↓ ↓ ↓
http://www.williamclaxton.com/movie.html
サイト内のコンテンツをクリックして、いろいろ楽しんでください。
私は、作品集 portfolio 内の、「McQUEEN GALLERY」を開いて、
右のサムネイルから、
お気に入り画像をアップして、当時に思いを馳せながら聞いています。
秋の夜長 …
部屋の灯かりを落として。。。
では心ゆくまで‥‥お楽しみください。
──────────────────────────────────────────
中高年と初心者のための『車読本』
発行システム:まぐまぐ! http://www.mag2.com/
★配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000178136.html
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発行元 : HIRO.ENTERPRISE
発行者 : CARLIVE SEEKER 『車は1/1の模型だね!』
こばやし ひろふみ
ブログ : http://blog.livedoor.jp/staff_17/
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‐無断引用転載禁じます‐
車の事典
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by CARLIVE SEEKER『車は1/1の模型だね』
− 第45号 2006.10.18 −
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☆皆様、お元気でしたか!!
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そして、はじめての方には、ご登録ありがとうございます。
◇これからも皆様方に、愛され、支持される、
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よろしくお願いいたします。
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そのような場合でも、用語の解説を付記していきますので、
ご安心ください。
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自然と専門知識を身につけ、ご家族やお友達に、ちょっぴり
うんちくを傾けられてはいかがでしょうか。
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それでは、今日もご一緒に!
★ やさしい自動車工学【エンジン編】
前回の「ノッキング現象」は、如何でしたか?
ノッキングの発生時における、
焔の「伝播速度」の速さには驚かれたと思います。
そしてカンカンと高く発する、
異常音の原因が上記の理由による、高周波の「圧力波」によって
起こされていたのですね。
◆またエンド・ガス(末端の未燃焼ガス部分)が
高圧、高温に圧縮されたとき、燃焼室内に「ホット・スポット」が
発生していると、そこに触れたエンド・ガスは「熱面着火」をして
ノッキングの原因にもなります。
注。ホット・スポット hot spot
・燃焼室内に異常発生した、極小の熱せられた部分
◆一方、「デトネーション」detonation と呼ばれる現象は、
たとえば、混合気を密閉した細長い管の一方の端で、混合気に点火
すると、もう一方の端へ焔の伝播が進んでいき、その末端近くで
発生する現象です。
「異常燃焼」の一種類で、そのときの焔の伝播速度は
じつに毎秒2000m〜3500mにも達することがあるのです。
前記、ノッキングの比ではないですね。
また事実、ノッキングが起きるときに、
デトネーション現象が発生していることもあり、原因の一つにあげ
られています。
それでは、今日のテーマ。
◆【ノッキング】knocking
2〕[ノッキングによる障害]
ノッキングの発生が
ごく僅かな場合は、とくに目立った傷害はありません。
それに点火時期が
遅れすぎているときは、エンジン出力の低下や、燃料消費率の悪化
などが挙げられますが、
※ノッキングの程度が
小さければ、『実用上むしろ出力は増加する』のです。
理由はお解りですね?前の号をもう一度、熟読してみてください。
このことからも、
点火時期の調整は、もちろんエンジンの規定(推奨)値にすること
が基本ですが、
◆一般的には、
ごく微量のノッキングを発生する程度に、設定した方が良いと言え
るのです。
◆ただし、
ノッキングの程度が大きい場合には、
様々な悪影響をエンジンに及ぼすので、「点火時期」の調整や
圧縮比に見合った「オクタン価」の燃料を使用するなどの方法で、
ノッキングを抑えなければなりません。
※激しいノッキングを発生すると、
末端の未燃焼ガスは、前述の通り一瞬にして燃えるので、混合気の
燃焼時間は極端に短くなり、
いっきに、「圧力の増加」と「温度の上昇」を起こします。
◆またこれによって発生した、
高周波の「圧力波」は、燃焼室の壁面(ピストンも含みます)への
熱の伝わり方が早くなり、
発生した「熱エネルギー」の大部分が「損失熱量」として失われて
いくのです。
◆このことで、
エンジンの「出力は低下」し、またシリンダーヘッドやピストン
ヘッドの「温度が急上昇」するので、
とうぜん「吸入効率」も悪くなり、「圧力振動」は「摩擦損失」を
増大させ、さらに出力の低下も免れません。
このようにして、
ノッキング現象によるエンジンへの悪影響は、深刻な問題である事
がご理解いただけたと思います。
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☆ やさしい航空工学【航空力学編】
ここでは、
筆者のライフスタイルであり、また専門分野の一つでもある、
航空工学について少し遊んでみたいと思います。
どうぞ楽しんでください。
前回までの高揚力装置は、いかがでしたか?
航空機という
巨大な質量をもった物体を、少ないエネルギーで且つ安全に利用
するために、様々な創意と工夫がおこなわれていて、
その一つに前述の「高揚力装置」もあるわけです。
今日のテーマです。
◇【翼型理論の基礎・高速機の翼型】
航空機の飛行速度において、
遷音速(音速前後のマッハ数0.8〜1.2)飛行では、障害も多いこと
から、
音速を超えるマッハ2クラスの航空機が、俄かに脚光を浴びるように
なりました。
しかしその一方で、
「超音速飛行」に必ず伴うやっかいな現象、ご存知の「衝撃波」の
問題です。
そのために
「遷音速飛行」でも、これらの問題を解決するために考えられたのが、
翼型を改良して衝撃波の発生を防ぐ方法です。
またこれによって、飛行に要する時間も短くなり経済的なメリット
も大きい画期的な方法と言えるでしょう。
それでは次に翼型について述べていきます。
◇[翼型の種類]
・「層流翼」laminer airfoil
先の号でもご説明したように、
乱流より層流のほうが「摩擦抵抗」は、少ないですね。
そのことから、
翼の上面を流れる気流を、できるだけ翼後縁まで層流の状態で流し
てやればよいわけで、
翼の前縁半径を小さく、
それに最大翼厚も小さくして(これは典型的な高速機の翼型です)
その位置も翼弦線上の後方に持っていく方法です。
◇つまり、
航空機の翼における「抵抗力」は、その大部分が翼の上面を流れる
空気(気流)との「摩擦」であるから、
※この「摩擦抗力」を減らすために、
翼表面を流れる気流の圧力の増加をおさえて、翼上面の境界層での
層流から乱流にかわる点を、できるだけ翼後縁に近くすることで、
解決を図ったのがこの翼型です。
◇したがって上述の通り、
・前縁半径は小さい(翼の前縁が薄く尖っている)
・最大翼厚(主翼の最も厚い部分)位置が40〜50%(翼弦の中央付近
が一番厚くなる)
・翼厚比は小さい
以上、主な特徴があります。
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ちょっと一息!
《喫茶室》
◇[ル・マン]Le Mans
筆者は、このル・マンのもつ響きが好きだ。
一年で最も日の長い、
夏至の週末に開催される「自動車レース・三大イベント」の一つ。
◇ル・マン24時間耐久レース! 24heures du mans.
「モータースポーツファン」ならずとも、おそらくこの名はご存知
でしょう。
進取の気象(気性)をもつ、フランス国民の夢と遊び心で始まった
このイベントも、当時は世界で一番「偉大な草レース」と揶揄され
たと言う。
−メルセデスの悲劇−
遡って、1955年6月11日午後4時。
マッジ伯が振り下ろす、
トリコロール(三色旗=フランス国旗)の合図とともに、
レースの火ぶたは切っておとされた。
伝統のル・マン式スタートである。
これから始まる長い戦い!に臨む儀式を終えて、40数台が先を争い
ながら一斉にコースに飛びだしていく。
予想通り、
勇猛果敢!マイク・ホーソンのドライブするジャガーをトップに、
それを追う冷静沈着、
正確無比にメルセデスを駆る、ファン-マヌエル・ファンジオとの
デッドヒート!が展開。
レース開始から、
2時間20数分後、両者はすでに他車を1周リードしている。
当時、サルテ・サーキット全長13.461kmの周回において。
まさに驚異!のスピードである。
はやくも白熱!の様相を呈してきた。
スタンド前、一台のジャガーと三台のメルセデスが雪崩のように
駆け込んでくる。
トップを走るホーソンが、
先を行く周回遅れのオースチン・ヒーレーを抜きにかかる、
さらに、メルセデスがこれに続く・・・・。
そして、その直後、
悲劇が起きた。信じられない一瞬の出来事が。
ヒーレーをパスした瞬間、
ホーソンが何を思ったか、突然?ヒーレーの進路をさえぎり、
ピットインを敢行!何の合図もなしに・・・・。
驚いたのは、
もちろんヒーレーのドライバー、ランス・マックリーンである。
巧みに触発は避けたものゝ、すでに車はコントロールを失い、
コース上を滑っていく。
ここで、時計が止まってくれたなら・・・・
しかし悲劇へのカウントダウンは続いている。。。
さらにホーソンを猛追して飛び込んできた、一台のメルセデス。
当時において、220km/hオーバーは、超高速!に違いはない。
目の前に突然立ちふさがる、
マックリーンのヒーレーを、かわす術もなく。
そのまま接触、
後方に危険をうながす片手を挙げ、ピット正面の壁に激突!炎上。
さらに木の葉のように舞い上がり、
見守る大観衆の中へ・・・・。
メルセデスのドライバー、
ピエール・ルヴェーと観客、スタッフを含む、80人以上の尊い命が
犠牲になる。
ブロンドの美しいミセス・ルヴェーの目前で。。
一方のヒーレーは、
そのままコースを横切り、整理に当たっていた警官の両足をひきち
ぎってようやく止まる。
この歴史に残る、大参事にもかかわらず、なおレースは続いていく。
スターリング・モス、
ファン‐マヌエル・ファンジオ等のメルセデス陣営は、完全に独走
態勢に入っていた。
もはや、ジャガーは脅威ではなかった。
しかし、事故発生から7時間以上、
さらに、レース開始より10時間以上経った真夜中、、
突然!メルセデスのチームはレースを棄権。
全車を引き上げ、その夜にドイツ、シュツットガルトへ向かう・・・。
それから、30数年間。
ル・マンからメルセデスの姿が消えた。。
‐編集後記へ続く‐
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※初心者のための車講座
◎車を知る【構造編・シャーシー】
◆[サスペンション]suspension
サスペンションには、
大きく分けて、「独立懸架方式」と「リジッドアクスル方式」の
二つがあることは、前回すでに述べた通りです。
◆「独立懸架方式」independent suspension systems
その名の通り、
左右の車輪がそれぞれ独立して、路面からの衝撃や、クルマの走行
状態から受ける姿勢の変化(例えば、コーナリング時における横G
からのローリングポイントの移動)に対応し、
乗り心地およびクルマの挙動を制御して、安定した走行姿勢を保つ
働きをする。
またそれによって、
タイヤの路面にたいする接地性も増すことから、
エンジンの回転エネルギー(駆動力=トルク)の伝達ロスを軽減し
て、駆動輪に有効に伝える働きもしています。
注。ローリングポイント rolling point
▼ロールセンター roll center とも言い。
クルマの走行中、とくに旋回中において横からの力(遠心力=
横のG)をうけてクルマが傾く。
いわゆる、ロールするするときの回転モーメントの中心になる
点をいう。
また横の勾配がついた傾斜地、わかりやすく言えば、ある角度
(カント cant)をもったバンクを想像してください。
そのバンク上でクルマを静止させ、仮に傾斜角を変化させる事
ができるとして、角度を大きくとっていくと、クルマは次第に
安定を失って横滑りして下がってくるか、
もしくは、横転または回転して落ちてくる。
このときの
クルマの踏ん張り度を、決める条件の一つにロールセンターの
位置が影響してくるのです。
よく間違えられやすいのに、
質量の中心を表わす重心と勘違いされるのですが違いますね。
話が横道にそれましたが、参考までにどうぞ。
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謹告。
このメールマガジンの、読者様のなかで、
1960年代当時、日産自動車追浜工場、第三実験課。(通称Y‐3課)
に所属されていた方が、もしおられましたら、
是非、是非、ご一報いただきたい。
このメールマガジン紙上へ、三顧の礼をもってお迎えいたします。
当時、日本は国をあげ、まさに重厚長大、怒涛の勢いで経済発展を
推進してまいりました。
自動車業界もその一翼を担い、国のキー・インダストリーとして、
大いに躍進を遂げました。
日産も、業界初のデミング賞を受賞するなど、
「技術の日産」として確固たる地位をきずいたのです。
誤解を恐れずに述べさせていただくならば、最も華々しく、パワー
に満ち溢れていた頃ではないだろうか。
後の日産の、多方面での活躍をみるまでもなく。
そのなかにあって、
Y−3課の存在は知られていても、その秘匿性ゆえ内容は一般の知る
ところに非ず。
しかし、そこから世におくりだされた名車の数々は、市場を席巻し
紛うことなく、その実力を知らしめたのであります。
今日、世界に冠たる自動車王国を築けたのも、当時の先人たちの、
血のにじむ努力の賜物であります。
激動の同時代をふりかえって、大いに語り合おうではありませんか。
ご連絡お待ちしております。
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〓 編集後記 〓
今回も《喫茶室》の記事に関連して続けます。
では、何故?
メルセデスは、勝利を放棄してまでル・マンを去ったのだろうか。
実はこんなエピソードがあった。
快走!を続けるメルセデス陣営、深夜のピットに一本の電話が入った。
クルー責任者の握る、受話器の向こうから聞こえてくる、
声の主(あるじ)は・・・
メルセデスの生まれた地、ドイツ本国は、シュツットガルトの本社から。。
『君達は、すでに数時間も勝利をたもっている。
もう充分ではないか、レースを止めなさい。』
‐hiro‐
‐平成18年 10月 18日 23時18分‐
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◇さらに続けて。
いま、この原稿を書きながら…ジャズを聞いています。
筆者、お気に入りのサイトから。
⇒ http://www.williamclaxton.com/movie.html
ル・マンをテーマにした映画。
と、言えば、もちろん『栄光のル・マン』ですね。
当然、映画の内容は言うに及ばず。
最大の関心事は..やはり彼。
主役を演じた、マックィーン「Steve McQueen」に他ならない。
今から50年位?前になると思う、テレビのシリーズ番組で、
実在した、賞金稼ぎのジョッシュ・ランダル役を演じた「拳銃無宿」
を観て以来、熱烈!なファンを自認しています。
ライフルの銃身と銃床を、短く切り落として作られた特製の銃。
ランダル・カスタムはあまりにも有名。
とにかく、理屈抜きでカッコ!よかった。
今夜はその話ではなくて、
★ジャズを撮るカメラマン「William Claxton」のページです。
↓ ↓ ↓
http://www.williamclaxton.com/movie.html
サイト内のコンテンツをクリックして、いろいろ楽しんでください。
私は、作品集 portfolio 内の、「McQUEEN GALLERY」を開いて、
右のサムネイルから、
お気に入り画像をアップして、当時に思いを馳せながら聞いています。
秋の夜長 …
部屋の灯かりを落として。。。
では心ゆくまで‥‥お楽しみください。
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中高年と初心者のための『車読本』
発行システム:まぐまぐ! http://www.mag2.com/
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