[ 車の理論と、基礎知識が自然と身につく情報誌!]

  車の事典!!
    中高年と初心者のための『車読本』

          by CARLIVE SEEKER『車は1/1の模型だね』

                          
                     − 第69号 2009.07.17−   
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 ☆皆様、お元気でしたか!!
       ご購読いつもありがとうございます。
                      
     そして、はじめての方には、ご登録ありがとうございます。
        
 ‐このメールマガジンは‐

 難しいクルマの専門用語を、極力やさしい言葉におきかえて
 中高年、初心者の皆様方にも、ご理解していただけるように
 お伝えしているつもりですが、

 時に、専門的な用語をつかったほうが、ご説明しやすい場合
 もあります。

 そのような場合でも、用語の解説を付記していきますので、
 ご安心ください。

 また、このメールマガジンを読み進めていくことで、
 自然と専門知識を身につけ、ご家族やお友達に、ちょっぴり
 うんちくを傾けられてはいかがでしょうか。

     [等幅フォントか、MSゴシックでお読みください]
  
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 それでは、今日もご一緒に。
    
 初心者でもプロの知識が!

 ★ やさしい自動車工学【出力編】   
 

 【エンジンの出力】

 創刊以来、

 自動車エンジンの、性能に関する基礎的な知識(基本用語)につい
 て、お伝えしてまいりましたので十分ご理解された事と思います。

 ある意味、自称プロの人たち以上にですよ。

 尤も真のプロフェッショナルは、自ら自身のことをプロとは申しま
 せんが。。

 また機会をみて、
 重要な項目に関しては、繰り返し復習をしていきますね。

 [圧縮比]compression ratio
 
 前回の説明によって、
 高圧縮比エンジンの出現は、おもに燃焼室を中心とした、機械的な
 オクタン価の向上と、きわめてアンチノック性の高い燃料が簡単に
 作られるようになったことが理由にもなります。

 注)▼機械的オクタン価

   これはエンジンの燃焼室のオクタン価のことをいい。
   相対的に、より低いオクタン価の燃料が使えれば、
   その燃焼室は、機械的オクタン価が高いといいます。

   ▼アンチ・ノッキング性 

   ノッキングを起こしにくい性質。
   オクタン価の高い(ハイ・オクタン)ガソリンほど
   アンチ・ノック性がある。

 それでは、今日のテーマ

 ◆「高圧縮比による諸問題」

 前回ご説明したように、
 圧縮比を高くすることで、理論的には、エンジンの性能が全回転域
 で大幅に向上することが分かりました。

 しかし現実的には、
 高圧縮比にともなう様々な問題があることも事実です。

 それは、ノッキングを含む「異常燃焼」の問題や「最高燃焼圧力」
 「燃焼速度」などの急激な増加によって生じる「機械的強度」の不安、
 それに「耐久性」の低下などが、主な問題になってくる。

 
 1)燃焼の問題

 この問題を解決するには、「アンチ・ノック性」の高い燃料を使用
 するか、または「機械的オクタン価」の高い燃焼室を作る以外にこ
 れを解決する方法はない。

 将来において、燃料技術の進歩により、ローコストでオクタン価の
 高い燃料が作られるならば、

 ガソリン・エンジンの性能は、今より更に向上する余地が十分にあ
 るのも事実でです。

 
 2)高圧縮比エンジンの見通し

 一部の実験では、高いオクタン価の燃料を使うことで、圧縮比17で
 最大の熱効率が得られ、またそれ以上高くしても逆に熱効率は低下
 することがわかった。

 このようなことから、
 「熱効率」と「圧縮比」の関係は、圧縮比を高くすれば、熱効率の
 面から見て、十分メリットのあることなのだが、

 はたして、このメリットが「経済的な利益」として、車を使う人た
 ちに反映されるかどうかは。

 ※前に述べたように、
 燃料性能が良く、燃焼堆積物の少ない高オクタン価の燃料が安く作
 られることによって初めてクリアされ、大きな利益を生みだしてく
 れるのは言うまでもない。  
            
                    ‐次回をお楽しみに‐                                     
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 大空に夢を!
 
 ☆ やさしい航空工学【基礎編】    

 ここでは、

 筆者のライフスタイルであり、また専門分野の一つでもある、
 航空工学について少し遊んでみたいと思います。
    
 どうぞ楽しんでください。
    
 航空力学【安定性】編

 ここで述べられている事柄は、
 なにも航空工学に限られていることではありません。

 お伝えする項目には、
 とうぜん自動車工学にも応用できる内容を数多く含んでおります。

 そのような視点から、
 とかく専門的になりがちな文章は、極力さけてご説明をくわえてい
 くつもりです。

 今日のテーマです。

 ◇[飛行機の三軸と揺れの方向]

ご存知のように、
 車の場合、ステアリングの働きは、左右の方向変換のみの動きにな
 りますが、

 空中を移動する飛行機の動作は、左右、上下、いわゆる三次元的な
 動きになりますね。


 ▽これからも解かるように、
 飛行中の機体には、次のような三種類のモーメントが働いています。

 1)横揺れ rolling 

 これは、機首から機体の重心をとおり尾部をむすんだ、機体の中心
 を貫く仮想の直線。

 縦軸を中心にして、機体が回転する状態を云う。

 すなわち、飛行中の機体が胴体を軸にして、左右の翼が上下に傾く
 様子を想像してください。


 ▽これをコントロールするには、
 補助翼(エルロン)を作動させておこないます。

 このエルロンは主翼の後縁、外側(翼端側)にあって、操縦翼面に
 当たります。

 操縦桿を左右に倒すか、操縦輪を左右に回すことでエルロンは作動
 して。

 またその動きは左右連動で、片方のエルロンを上げると、反対側の
 エルロンは逆に下がります。

 これにより、エルロンを上げた翼の揚力は減少し、もう一方のエル
 ロンを下げた方の翼は反対に揚力は増加する。


 ▽この発生した揚力の差が、飛行機の縦軸に作用するモーメントの
 差となって、

 機体が左右に傾く(回転する)のです。

 この作用は、操縦桿を動かした方向に働き、その量と時間に比例し
 ます。


 ▽またこの「揚力差」と同時に「効力差」も発生するので、飛行機
 が旋回する時、縦軸まわりのモーメントを減殺する働きをする。

 すなわち、エルロンを上げたほうの翼は効力が増加し、下げたほう
 の翼は効力が減少する。

 一般的に、エルロンを上げるほうの角度(舵角)は、下げる舵角よ
 り大きい。

 これも飛行機の「安定性」に結びつくのですね。
          
                     ‐次回へ続きます‐                 
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 ちょっと一息!

 《喫茶室》

 ◇[スターリング・モス] Stirling Moss  
            
  ‐無冠の帝王‐ 最終章
 
 1953年、
 F1参戦を決めたメルセデスのチーム監督、ノイバウァに一通の手紙
 が届いた。

 その文面は、このような内容であった。

 『あなたの会社がレースに参加すると聞いたが、さしあたって優秀
 なドライバーが必要だろう。
 イギリスに一人、有名なドライバーがいる。
 スターリング・モス、それは私だ。』

 なんとも若者らしい傲慢な手紙だろう。

 ノイバウァは彼に、丁寧に返信している。

 『市販のレーシングカー、マセラティ・レーサーを買って、もっと
 レースの経験を積むように。』

 この無鉄砲なイギリス青年は、素直にノイバウァの助言を受け入れ
 マセラティを購入。


 1954年のグランプリ・レースでは、
 ブリティッシュ・レーシング・グリーンに塗られたマセラティが、

 並み居るワークス・チームを向こうにまわして、脅威の成績を上げ
 た。

 これがあのノイバウァの目に止まらぬはずがない。

 1955年には、晴れて憧れのチーム、メルセデスの一員になる。


 さすがのスターリング・モスも、
 グランプリ・レースでは、チームの先輩でもある、天才ファンジオ
 には歯がたたず、何時も苦戦を強いられていた。

 モスは冗談とも、本気ともとれるような、

 しかし敬愛の念をこめて『チキショウ、あの親父はいつも2、3秒
 ポケットに入れている。』

 と、口惜しがっていた。


 そんなモスも、スポーツカー・レースには、本領を発揮!
 ツーリスト・トロフィー、タルガ・フロリオで優勝を果たし。面目
 躍如である。

 さらにイタリアの有名なレース、ミッレ・ミリアに親友のジェンキ
 ンスンと組んで出場。

 モスは才能のすべてを出しきって、平均97.80mhpのミッレ・
 ミリア最高記録を樹立!

 しかも外国人ドライバーとして、史上二人目の快挙である。


 1956年はマセラティで戦うも、
 翌1957年からは、国粋主義者の彼らしく、母国イギリスのマシ
 ーンで参戦する。

 当時のイギリス製F1マシーンは、とてもイタリアの車に歯がたたず、
 お世辞にもレーサーと呼べるような代物ではなかった。

 それでもモスは、母国のマシーンに拘り続ける。

 1959年頃、ようやく強くなってきたイギリス製F1マシーンでは
 あったが、この時すでに、モスはワークス・チームから離れていた。

 モスの言葉によると、
 ワークスで走るメリットは、確かに大きい。しかしレースは気の合
 った仲間とやるのが一番たのしい。

 それにプライベートで、ワークスを倒すのが最高の醍醐味なんだ。

 その言葉通り、1961年のモナコGPでは、旧いロータスで参戦。
 ライバルは、新型フェラーリを駆る、リッチ・ギンサーである。

 圧倒的なパワーにものをいわせ、
 トップを独走するギンサーを、直線で離されてはコーナーで追いつ
 くという、シーソーゲームの末。

 チャンスは巡ってきた。

 幾度となく繰り返される、
 コーナーのバトルに、心身ともに疲労の限界をむかえつつあった、
 ギンサーを捉え。

 自身の編み出した、高速でコーナーを駆け抜ける、モス・ラインの
 テクニックを駆使し、ついに頂点に立った。

 旧式、弱小のイギリス製ロータス・マシーンでの快挙!

 こんな熱いドライビングに、イギリス人ファンは熱狂し、賞賛した。

 さらにこの年、
 あのもっとも難しいと云われる、難攻ニュルブルクリンクをも制し
 ている。


 参戦466回、優勝194回、勝率41%、これは過去はもちろん、
 現在においても不滅のNO.1に異論はない。

 にもかかわらず、モスは一度もチャンピオン・シップを獲得してい
 ない。

 もし彼が、
 エンツィオ・フェラーリの誘いを受け入れていたならば、あの不朽
 の名ドライバー、ファンジオをも超えていただろうに。

 「無冠の帝王」。
 この称号、これこそがスターリング・モスの誇りなのだ。

 モスは語る。。

 私はレースに勇気など少しも必要だと思わない。

 困るのは、多くのドライバーが速く走るには、コーナーの手前で、
 できるだけブレーキを使わないことが、勇気だと勘違いしているこ
 とだ。

 もし仮に、少しでも勇気というものが必要だとするならば・・・

 自分のミス以外の理由で、トラブルの起こるマシーンに乗らなけれ
 ばならない時だろう。

 またよく聞かれる質問だが、あのコーナーは何速を使い、回転数は
 どれくらい?・・・

 うんざりだ。

 私はレースの最中にそんなことを考えて走っていない。
 適当なギア、としか答えられないのだよ。。
      
                          ‐hiro‐     
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  初心者のための車講座。              
  
 ◎ 車を知る【出力編】   
 
 【出力向上と諸問題】

 この項では、
 上記の「やさしい自動車工学」の項目を補完する意味で取りあげて
 います。
  
 今日のテーマ

 ◆「機械的オクタン価とアンチ・ノッキング性」

 今までにも述べてきたように、
 エンジンの出力向上には、圧縮比の高い燃焼室へ、たくさんの空気、
 いわゆる大量の混合気を燃焼室に送ってやればよい。

 しかし、それだけでは必ずしも正解とはいえない。
 そこには、クリアしなければならない幾つかの問題があるからだ。

 大量の混合気を、高い圧縮圧力をかけて燃焼させた場合、燃焼室の
 温度は急激に高くなる。

 このことで、
 焔の伝播速度(燃焼速度)は一気に増加し、ピストン・スピードを
 超え、その高い燃焼ガスの圧力は、周囲のシリンダー壁やバルブ類
 それにピストン等に過激な衝撃を与える。

 この結果、異常音の発生とともに、エンジンの出力は急速に減少し
 機械的なダメージも見逃せない。

 ▼これを解決するのに、
 燃焼室の状態をかんがえて、工夫されたのが「機械的オクタン価」
 の高い燃焼室といえるのです。

 燃焼室の内壁を研磨して、カーボンの堆積を減らしたり、未燃焼ガ
 ス末端の、急激な温度の上昇を防いだりすることや、

 プラグ点火によって、
 混合気の燃焼が始まり、焔の伝播がスムーズに完了して、高い燃焼
 効率を発生させるために、

 焔の伝播経路を短くしたり、混合気に過流や乱流をおこさせてやれ
 ば、燃焼速度は速くなって、

 「異常燃焼」を防ぐ効果がある。
 
 ※そのためには、 
 燃焼室の形状、バルブ、それにプラグの位置を考慮して、それぞれ
 のエンジン特性に見合った、「機械的オクタン価」の高い燃焼室の
 選択が望まれる。


 さらにこの効果を高めるためにも、
 「アンチ・ノッキング性」の高い燃料を用いてやればよい。

 それが安いコストで賄われたならば、その効果は計り知れない。
  
                          ‐hiro‐
                         
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 〓 編集後記 〓

 久しぶりに、メルマガの発行です。

 当地は、まだ梅雨が明けません。

 晴れの日は、気温が30℃前後にもなるのに、
 ひとたび雨になると、激しい降雨に見舞われます。

 まったく、おかしな天候です。

 いつも思うのですが、
 昔のような、穏やかな、しかしメリハリのある四季の移り変わりな
 ど、望めないのかな。

 まっ、この梅雨が明ければ、真夏のイベントが目白押しですね。

 暑さに負けず大いにエンジョイ!しましょう。
                    
                          ‐hiro‐

               ‐平成21年7月17日 23時00分‐              
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 中高年と初心者のための『車読本』
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