[ 車の理論と、基礎知識が自然と身につく情報誌!]

   車の事典!!
      中高年と初心者のための『車読本』

             by CARLIVE SEEKER『車は1/1の模型だね』
                         
                             − 第65号 2008.09.29 −
   
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    ☆皆様、お元気でしたか!!

          ご購読いつもありがとうございます。
                      

        そして、はじめての方には、ご登録ありがとうございます。
            
     ‐このメールマガジンは‐

     難しいクルマの専門用語を、極力やさしい言葉におきかえて
     中高年、初心者の皆様方にも、ご理解していただけるように
     お伝えしているつもりですが、

     時に、専門的な用語をつかったほうが、ご説明しやすい場合
     もあります。

     そのような場合でも、用語の解説を付記していきますので、
     ご安心ください。

     また、このメールマガジンを読み進めていくことで、
     自然と専門知識を身につけ、ご家族やお友達に、ちょっぴり
     うんちくを傾けられてはいかがでしょうか。

             [等幅フォントか、MSゴシックでお読みください]

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    それでは、今日もご一緒に。
    
    初心者でもプロの知識が!
 
    ★ やさしい自動車工学【出力編】  
  
   【エンジンの出力】

    創刊以来、
    自動車エンジンの、性能に関する基礎的な知識(基本用語)につい
    て、お伝えしてまいりましたので十分ご理解された事と思います。

    ある意味、自称プロの人たち以上にですよ。

    尤も。
    真のプロフェッショナルは、自ら自身のことをプロとは申しません
    が。。


    また機会をみて、
    重要な項目に関しては、繰り返し復習をしていきますね。


    ◇[吸入・排気行程]inhalation・exhaust stroke

    前回までのテーマ「バルブ・タイミング」に変わって今回から新た
    なテーマでお送りいたします。

    復習もを兼ねた内容になっている部分もありますので、
    もう一度、再確認しながらお読み下さい。


    ◆「慣性過給」inertia supercharging

    吸入弁の閉じる時期(バルブ・タイミング)は、混合気が流入して
    くる勢い、つまり慣性を最も有効に利用して、最大の吸入効率を得
    られるように選ぶと言うことでした。


    これは吸気(混合気)の慣性をうまく利用することで、吸入効率を
    向上させることができるからなのです。


    ◇この効果を「慣性効果」ramming effect とも呼んでいます。

    
     『そして、この効果を知る方法として、「吸入管の長さ」を任意に
    変えてみることで、慣性効果をもっとも有効に利用できるエンジンの
    回転数域を知ることができる。』


    ▼この方法は、
    吸入管がないか、また吸入管がエンジンに見合った長さでない場合
    とに比べて、

    吸入空気量(混合気)の増加を効果的に得ることができ。

    いいかえれば「出力の増大」を図ることができる。と言うことです。


    ▼この効果を、
    「吸入管の慣性効果」inertia effect of intake air column と
    言っています。


    ▼またこれを理解する方法として、
    吸入管内の混合気の圧力と、シリンダー内の圧力を同時に測ること
    でよく解ります。


    具体的には、
    エンジン速度(回転数)と吸入弁の閉じる角度を、それぞれ変え
    て測ってみればよいわけです。


    尚、個々の項目に関しての詳しいご説明は、
    かなりの専門知識とまた図解も必要になりますので、ここでは省略
    させていただきます。


    ※いままで「エンジンの出力」に関連する項目について、いろいろ
    述べてきました。


    ▼なかでも「吸入・排気行程」に於いては、
    吸入効率、吸入抵抗、バルブ・タイミング、など様々な要因があり
    ました。


    そして今回取り上げた「慣性過給」もその一つだと、ご理解いただ
    ければよろしいかと思います。
                       
                               ‐次回をお楽しみに‐
                                     
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    大空に夢を!
  
   ☆ やさしい航空工学【基礎編】     

    ここでは、
    筆者のライフスタイルであり、また専門分野の一つでもある、
    航空工学について少し遊んでみたいと思います。
    
    どうぞ楽しんでください。
    
    航空力学【性能】編

    ここで述べられている事柄は、
    なにも航空工学に限られていることではありません。

    お伝えする項目には、
    とうぜん自動車工学にも応用できる内容を数多く含んでおります。


    そのような視点から、

    とかく専門的になりがちな文章は、極力さけてご説明をくわえてい
    くつもりです。

    今日のテーマです。

    ◇[離陸性能]take off performance

    前の号でお伝えした「旋回」‐続編‐は、いかがでしたか。

    三次元の空間を移動する、
    航空機の操縦がいかにシビアなものか、少しはご理解いただけたの
    ではないでしょうか。


    三舵の僅かな当てかた次第で、航空機は大きな挙動の変化を示すの
    です。


    ▽それでは「離陸性能」について

    どれほど優れた飛行性能をもった航空機でも、空中へ飛び上がらな
    ければ、その性能を発揮することはできません。


    そして、この離陸性能に求められる条件のなかで、もっとも重要な
    要素の一つが「離陸距離」です。


    ▽この「離陸距離」take off distance とは、

  
    『地上の出発位置(静止)から滑走を始め、
    ある速度に達して浮揚したのちに、「高度15m」に到達するまで
    に要した「水平距離」を言います。』


    とくに日本をはじめ、
    ヨーロッパの国々のような、限られた国土の中で飛行場を建設する
    上で、一番の悩みは、滑走路の長さにあると思います。


   
    そのために出来るだけ短い滑走路を、安全に離陸できる、航空機の
    性能が要求されるのですね。


    このことから、
    離着陸距離の短い航空機(STOL機)や垂直離着陸航空機(VT
    OL機)などが注目を浴びている。



    ※参考までに、航空機の離陸に至る迄の流れを示してみます。

    1)離陸位置への侵入 taxi in to position

    2)離陸滑走 take off roll

    3)浮揚 airborne

    4)浮揚後の操作 after airborne
    
    
    以上の行程を正確にクリアして、
    はじめて航空機が地上を離れ、空中での飛行が可能になるのです。

          
                               ‐次回へ続きます‐
                    
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    ちょっと一息!

     《喫茶室》

    ◇[サン・トロンの幽霊] 
            
    ‐ハインツ・オルフガンク・シュナウファー‐ 
    
    ドイツの進駐基地、ベルギーのサン・トロンにあった夜間戦闘基地
    に駐留して、

    イギリス夜間爆撃隊のクルー達から、
    サン・トロンの幽霊と恐れられた、ドイツ空軍、夜間戦闘機部隊の
    秘蔵っ子。

    ハインツ・オルフガンク・シュナウファー。

    そのニックネームの由来も、
    イギリス爆撃機121機撃墜、出撃回数164回、撃墜率7割4分の
    異常なまでのハイスコアを見ればうなずける。

    言うまでもなく、
    このことは全てが危険に満ちた、夜間での戦闘である。
    
    1922年2月16日、
    あのドイツ空軍の最高エース!エリッヒ・ハルトマンと同じ、ウュル
    テンブルクで生まれる。

    黒い髪、広い額、理性に満ちた顔立ちは、誰からも愛された好男子。

    人間性でも、
    また戦闘機パイロットとしての資質も、どこかマルセイユ(アフリ
    カの星)と余りにも共通するところが多い。

    そう思うのは筆者だけだろうか。

    1939年、
    第二次世界大戦開戦の年、シュナウファーはドイツ空軍に入隊。

    また重戦闘機(戦闘機・駆逐機)として開発された、Bf110が
    軍の期待通りの戦果を上げられず。

    第一線(西部戦線)から撤退。
    その後改良を加え、晴れて夜間戦闘機の主力機としてデビューした
    のに呼応して、

    シュナウファー自身も、1942年の春、夜間戦闘機パイロットに
    転属。

    それ以降、彼の超人的な撃墜ドラマが生まれていく。。
    
    暗黒の空はそれだけで、十分に、危険きわまりない。
    
    しかしどんな悪天候でも、
    ひるまず出撃していった背景には、自身の操縦技術に絶対の自信が
    あったのは言うに及ばず。

    そればかりではない。

    シュナウファーの乗機、
    メッサーシュミットBf110には、レーダー手、それに後部銃手
    を合わせた第一級の三人が、

    絶妙のチームワークを発揮して戦っている。

    ・・・・・ 

    1943年12月16日の夜。
    荒れ狂う、冬の北海を越えてやってくる、敵の編隊を、ドイツ軍の
    防空用電探が・・・捉えていた。


    濃霧の為、この夜は飛行中止になっていたほどなのに・・・。


    間髪をいれず、
    シュナウファーは機に飛び乗る、視程は15mも無い、かまわずに
    緊急発進!を強行。
    
   
    機速を上げ、重く垂れこめた暗夜の雲海を一気に抜けると、そこは
    静かに晴れわたっている、別世界。


    風防越しに見上げる空は、星さえも瞬いている。。

    注意深く・・・更に注意深く。

    シュナウファーの梟の眼が、辺りを警戒する。

    その鋭い索敵能力が、
    雲上、遥か先を悠然と翔く、一機のアブロ・ランカスターを発見。

    他に敵機はいない・・・?


    単機のところをみると、おそらく先導機(パスファインダー)に違
    いない。

    だとすれば・・・必ず、これに続く敵の編隊がいるはずだ。

    
    この先導機の役割は重要で、且つ、最も危険な存在なのだ。

    別名、爆撃の司会者(マスター・オブ・セレモニーズ)とも呼ばれ。
    
    爆撃目標の上空から、パラシュートつき照明弾を投下し、後に続く
    爆撃隊を正確に誘導。


    さらに爆撃中は、
    離れて、戦況を監視、修正、爆撃機の搭乗員を鼓舞してやる。

    冷静沈着、優れた指令官が搭乗している。


    この一機を撃墜することは、
    後続する爆撃隊、本隊の混乱を招くだけでなく、効果を著しく激減
    できる。


    シュナウファーは、息を殺し、闇に乗じ、背後に迫った。。

    至近50m、ランカスターの機影で、風防が一杯に覆われる。

    瞬間!シュナウファーの操縦桿を握る指が、20mm機関砲の発射
    ボタンを押していた。

    機関砲の重い発射音と共に、闇を切り裂く閃光!が走った。。


    ・・・・・・。

                                  ‐次号に続きます‐   
                                          ‐hiro‐
     
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     初心者のための車講座。
                  
   ◎ 車を知る【ABS】    
  
   【アンチロック・ブレーキ・システム】Antilock Brake System

     ‐続編‐

    前回の内容に少し補足してみます。

    走行中の車に急ブレーキ(緊急ブレーキ)をかけたとき、車に作用
    する慣性の力は、

    当然、重心の移動をともなって、前輪により多くの「荷重倍数」が
    加わります。

    これによって、前輪にかかる重量と後輪にかかってくる重量に変化
    が生じてきますね。


    ▼大雑把に表現すれば、
    ブレーキをかけることで、車の重量が前に移動して、前輪が重くな
    り、逆にその分後輪が軽くなる。

    それも制動時の車速に見合った荷重倍数分だけ、作用すると言うこ
    とです。


    注)荷重倍数については、前の号、やさしい航空工学を参考にして
      下さい。


    上記のことから、
    前輪、後輪に加わるブレーキの制動力にも影響を及ぼしてきます。

    前輪に比べて後輪は、小さい摩擦力でもロックしやすくなり。
    
    これがまたパニック・ブレーキ時において、車の挙動に大きく現れ
    てきます。


    ▼たとえば、
    前輪の制動力を大きくして、前輪ロックが起きた場合、車はステア
    リングによるコントロールはほとんど不可能となり。


    また反対に、前輪に比べて後輪ブレーキの摩擦力を大きくすること
    で、後輪のロックが発生した場合には、

    ステアリング・コントロールはある程度までは可能ですが。


    後輪のスキッドが限界を超えるものであった場合、やはりハンドル
    操作のみによる危険の回避は望めない。


    いずれにせよ、
    一旦、車がドライバーのコントロールから離れてしまえば、その先
    の結果は、もう言うまでもありませんね。


    このように、荷重倍数の作用によっても制動時の車に及ぼす影響は
    計り知れない。

    それは、個々の車の持つ性格(性能特性)、目的、はたまた乗り手
    の使用条件によってさえ、千変万化してくるのです。


    ▼それゆえに、
    たとえどのような状況においても、緊急ブレーキをおこなった時、
    車が最大限、危険回避を手助けしてくれる、

    機構上の仕組みが、
    この「アンチロック・ブレーキ・システム」になるのです。


    そしてこのことで、
    今まで困難とされていた緊急時でのブレーキによるアクシデントか
    らの回避能力が、一段と向上したのも事実です。


    ※しかし、
    ここで勘違いをしていただきたくないことは、このシステムの目的
    は、あくまでもドライバーの補佐的な働きしかできないと言うこと
    であって、

    ましてや、
    安全を保障できる万能なシステムではないのですから。。


    このような優れた機構も、
    所詮、それを扱うドライバーの意識によってメリットが最大限に生
    かされることもあれば、

    むしろ逆に、無用の長物にもなりかねないのです。


    ▼その為にも
    せめてドライバーは、自身の所有する車に対するメンテナンスには、
    最大の関心と細心の注意を払っていただきたいのです。


    たとえて言えば、
    このアンチロック・ブレーキ・システムが装備されている車であっ
    ても、履いているタイヤの溝が著しく摩耗、偏摩耗していたり、

    またホイールになんらかの支障があったり、ましてやブレーキ及び
    ステアリング系統に整備上の不備や異常を見逃していては、


    到底、どれほど画期的な機構を備えていたとしても、たんなる絵に
    画いた餅にすぎないのです。


    安心して安全に車を利用するためにも、
    とくに中高年と初心者の皆さま方には、是非々々守って頂きたい。


    差し出がましいと思いつゝも、
    自戒の念も込めて、あえて一言述べさせてただきました。



    『このことが、
    自身の生命は言うにおよばず、溢れる車社会の中にあって多少なり
    とも、周りの人々の安全にも貢献できるならば。』


    余りにも、ささやかな行為にすぎない・・のだから。。


                                          ‐hiro‐


             今日はここまでです

                   おつかれさまでした。
                         
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    〓 編集後記 〓

    秋の気配が漂う、爽やかな日々が続いております。

    皆さまの地方はいかがですか。

    我が家には、
    この夏、家族の一員に加わった人気者がおります。

    元気一杯、いたずら好きで、すっかり我が家のアイドルです。

    名前は、
    兜太郎!そうですカブトムシ(甲虫)の雄でカブタロウと言います。

    小さいながらも、立派な角を誇らしげにアピールしています。

    そんな兜太郎ですが、最近は少しずつ元気が失われていくようです。

    生命の終焉が近ずいているのかも知れない。。

    ガンバレ!兜太郎。
                   
                                       ‐hiro‐

                        ‐平成20年09月29日 23時00分‐
              
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          こばやし ひろふみ
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