[ 車の理論と、基礎知識が自然と身につく情報誌!]

 車の事典━━━━━━━━━━
    中高年と初心者のための『車読本』

             by CARLIVE SEEKER『車は1/1の模型だね』
                         
                      − 第36号 2006.08.17 −
   
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  ☆皆様、お元気でしたか!!
      ご購読いつもありがとうございます。
                      
         そして、はじめての方には、ご登録ありがとうございます。
 
    ◇これからも皆様方に、愛され、支持される、
     メールマガジンを配信できるよう、努力してまいります。

     よろしくお願いいたします。
           
    ‐このメールマガジンは‐

    難しいクルマの専門用語を、極力やさしい言葉におきかえて
    中高年、初心者の皆様方にも、ご理解していただけるように
    お伝えしているつもりですが、

    時に、専門的な用語をつかったほうが、ご説明しやすい場合
    もあります。

    そのような場合でも、用語の解説を付記していきますので、
    ご安心ください。

    また、このメールマガジンを読み進めていくことで、
    自然と専門知識を身につけ、ご家族やお友達に、ちょっぴり
    うんちくを傾けられてはいかがでしょうか。

           [等幅フォントでお読みください]

    ──────────────────────────────────────────

    それでは、今日もご一緒に!

   ★ やさしい自動車工学

    前回までの「混合比のまとめ」は、いかがでしたか。

    さらに、要約すると。

    ◆混合比は、
    「吸入する空気」と「燃料との重量比」で表わす。(単位:g)

    ◆完全燃焼するための
    「理論混合比は、14.8:1」であって、
    ガソリンの成分(炭化水素の量)で多少変わってくる。
   
    ◆「最大出力混合比は、12.5〜13.0:1」です。

    ◆「最良燃費混合比は、15.0〜15.5:1」になるが、
    同時にエンジンの安定度は、悪くなることもある。
    そのために、実際つかうには、これより若干濃い方に設定する。
    
    ◆また「燃費率」の悪化は
    混合比だけではなく、他の原因も考えられるので、調べてみる
    必要がある。

    ◆「混合比計」は、
    理論混合比14.8:1をこえて薄くすると、指針は反転して濃いほう
    を示すので、見極めが必要です。

    以上の要点だけでも、覚えていただければ良いでしょう。


    それでは、きょうから新しい項目に変わります。

    とは言え、これは先の号、『エンジンの性能』の続編だと
    おもっていただければよろしいと思います。

    また重複する部分もでてきますが、補足説明として読んで下さい。

    ●エンジンの性能
    [エンジンの燃焼について]

    ■「平均有効圧力」    
    これは、エンジンの「排気量当たりの出力」であって、

    エンジンの大きさ(排気量)に関係なく、エンジンの性能を比較
    することのできる、一つの「性能比較値」いわゆる尺度である、
    と言うことを先の号で述べてきました。

    ここで、復習です。

           2×60×75×N     N
        Pm=――――――――=900――― …………… (1・1)
            10 Vh n        Vh n


           10Pm Vh n
         N=――――――=0.00111 Pm Vh n ………… (1・2)
           2×60×75
                   
    ここで、Pm:平均有効圧力 Kg/cm2
        Vh:排気量(シリンダー1本あたり)L
        N :エンジンの出力(シリンダー1本あたり)PS
        n :エンジン回転数 rpm

                         と、します。

                   
                (四サイクル・エンジンの場合)

    ここでは、説明を解かりやすくするために、

         シリンダー1本あたりの性能について考えてみることに
         しました。

    ◆平均有効圧力は、

    エンジンで発生した熱量から、仕事でつかわれずに失われた熱量を、
    引いた値によってきまります。

    このことを式で表わすと、

            1   Q1−Q2  ‐1
        Pm=――・――――――×10   …………… (1・3)
            A    Vh

    以上の式で

        Pm:平均有効圧力 Kg/cm2
         Vh:排気量(シリンダー1本あたり)L
        Q1:供給熱量 Kcal
        Q2:損失熱量 Kcal
         (Q1、Q2は、いずれも1サイクル1シリンダーあたり)
        A :仕事の熱当量 Kcal/Kg・m
         (A=1/426.9Kcal/Kg・m)
          仕事(Kg・m)を熱量(Kcal)に換算するときの係数
          
        上記の式を説明するのに、

        図解が必要になりますが、マガジンの紙面上では無理な
        ので省きます。
                    3           2
    [仕事Kg・M=シリンダー容積CM×シリンダー圧力Kg/CM×1/100]

    それでは、この項での本題に入ります。

    ■「燃焼」

      ◆シリンダー内の燃焼は、

    燃料(ガソリン)と空気との、混合気の中での、「火焔伝播」に
    よって行われています。

    ◆燃焼は、

    混合気が一瞬にして、全部燃えてしまうのではなくて、
    火焔が伝わっていくには、「時間がかかる」のです。

    先の号で、
    取り上げた、「エンジンの四行程」を思い出してみてください。
    「燃焼行程」であって、爆発行程などではありえませんね。

    念のため。

    ◆そして
    この伝わる速さを「燃焼速度」または、「火焔伝播速度」と
    いいます。

    ◆燃焼速度は、
    混合気の「圧縮圧力」や「エンジン速度(回転数)」等の様々な
    条件によって変わってきます。

    『気筒(シリンダー)内の燃焼には、
    混合気に火花点火をした後に、火焔が伝播して、全混合気を燃焼
    させる。つまり「正常燃焼」』の他に。

    ◆火花が飛んでも

    火炎伝播が起こらない、いわゆる「失火」や「ノッキング」また
    「プリイグニション」などがあり。
    
    ◆またシリンダー外の燃焼としては、
    「バックファイアー」や「アフターバーニング」等があります。

    注。
    ・火焔伝播 flame propagation : 当用漢字での火炎で。   
     混合気が燃焼するときの「炎の伝わり」をいう。

    ・失火 misfire : 不着火、[点火しない」ことです。

    ・バックファイア backfire : 逆火。
     気化器側に「火を吹き返す」ことをいう。

    ・アフターバーニング after burning : 後火。
     「シリンダーの外」へ出てから未燃焼ガスが燃えること。
        
     また「シリンダー内」の燃焼で、燃焼作用が「膨張行程」まで
     続くことをいう場合もあり、
     
     前者を後者の極端な場合と考えてください。

                      とりあえず、ここまで。

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   ☆ やさしい航空工学

     ここでは、
    筆者のライフスタイルであり、また専門分野の一つでもある、
    航空工学について少し遊んでみたいと思います。
    
    どうぞ楽しんでください。
       
    ◇前回の「翼型各部の名称」は、いかがでしたか。

    ◇翼型各部の

    名称に関する用語は、次のように定められています。

    ・前 縁:翼型の最前端

    ・後 縁:翼型の最後端

    ・翼弦線:前縁と後縁とを結んだ線(翼弦ともいう)

    ・翼弦長:翼弦線の長さ

    ・中心線:翼型の上面と下面との中央を通る曲線
         通常、上の方に湾曲している

    ・キャンバ:中心線の反りの大きさ(湾曲の度合い)
          を表わしたもの
          翼弦長に対する%で表わしたもの

    ・翼 厚:翼型の最大の厚さ
         翼弦長に対する%で表わす
           
               以上、参考にしてください。

    それでは今日のテーマ。
   
   ▽翼型理論の基礎

    【揚力と抗力】

    ◇飛行機が飛行するために、
    主翼に「揚力」を、発生させなければならないことは、既にご存知
    のことですが、

    それと同時に、
    「抗力」といわれる、抵抗力があることも覚えておいてください。

    ◇抗力とは、
    主翼の「進行方向」に対して、「抵抗となる力」のことを言います。

    そして
    『翼型には、この抗力(D : Drag) と 揚力 (L : Lift)の二つの
    力が常に働いているのです。』

    これら二つの力を、式で表わすと、
                          2
        揚力=揚力係数×1/2×空気密度×(風速)×翼面積
       
                          2
        抗力=抗力係数×1/2×空気密度×(風速)×翼面積

                        このようになります。


    この二つの式から、

    『揚力と抗力は、流体の流れの動圧および翼面積に比例することが
    解かります。』

    さてここで、
    前にも一度触れた、「迎え角」について考えてみましょう。

    水上スキーを思い浮かべてください。

    滑りだす前、スキーは水面下で、ある角度をもって沈んでいます
    よね、それが前に引かれて動きだすと、スキーは水面上に乗って
    くることが出来るのです。

    このとき、スキーと水面との角度が適切であったので、スキーが
    水面上に乗ることができたのですが。

    ◇この水面とスキーとの角度を、「迎え角」と言い。
    
    ◇飛行機の翼も

    これと同じように、気流の流れと翼型の翼弦線とのなす角度を、
    「迎え角」と呼び、

    この角度を、変えることによって、「揚力と抗力」に変化を
    あたえているのです。

    ◇つまり、
    迎え角を増していくと、揚力も増加していき、ある迎え角に達す
    ると揚力が最大になる。

    ◇この点を
    「最大揚力係数」と言い、またこの時の迎え角で主翼の「失速」が
    始まるので、「失速角」とも呼んでいます。

    ◇そして
    『迎え角を失速角より、さらに増やしていくと、飛行機は失速を始
    めて、ついには墜落となるのです。』

    注。
    失速 stall : 翼に発生する揚力は、迎え角の増加とともに増して
           いき、ある迎え角に達すると、主翼の上面を流れる
           気流に「剥離現象」が発生し、

           揚力が急激に減り、反対に抗力が増大して翼の失速
           をひきおこすのです。

           参考までに。

           この他にも、高速機にみられる「圧縮性失速」現象
           があって、高亜音速において、翼表面から衝撃波が
           発生し、そこに剥離を生じ、

           迎え角を、大きくとった場合と同じような、揚力の
           減少と抗力の増加で、失速に至るのです。
                  
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    今日の本題。

    ◎車を知る【構造編】

    ▽[サーモスタット]thermostat

    今回も、
    「エンジン冷却システム」のお話です。…… これで最後かな?

    いままでに、エンジンの冷却システムについて、
    なかでも、「水冷装置」に特化して述べてきましたが。

    こと、エンジンの「冷却作用」でいえば、なにも水冷、空冷に
    限ったことではなく、

    様々な「冷却システム」が、エンジンに施されているのですが、

    目に見えて、一番解かりやすい「水冷式エンジン」の、
    それも「水冷装置」に限って、ご説明してきました。

    その他の、
    一見、見逃しやすい装置や構造についても、いずれ機会があれば
    取り上げてみたいと思います。

    それでは、「サーモスタット」について。

    ◆水冷式エンジンの
    「冷却水循環経路」に設置された、冷却水の「自動温度調節」用
    の装置。… です。

    ◆砕いて言えば、
    いままで数回にわたって述べてきた、「ウォータージャケット」や
    「ラジエター」等で構成された冷却システムの「循環経路」に、

    いわゆる冷却水の通り道に設置され、そこを流れる冷却水の温度
    に応じて、「サーモスタット」の「バルブの開閉量」を加減し、

    すなわち、冷却水の「流量を調節」しながら、エンジンの冷却に
    貢献している小さな部品です。

    注。
    エンジンを冷却すると言うことは、文字通りにエンジンを冷やすと
    言うことではなくて、

    エンジンの「シリンダー外壁温度」を適温で維持するためですね。

    なぜならば、「過冷 overcool」冷やし過ぎによる、エンジンの不調
    やダメージは、「過熱 overheat」によって生じる悪影響と同じ位に
    深刻な問題を生じるからです。

    ◆言葉を変えていえば。

    『これら冷却システムの目的は、
    エンジンの高い燃焼効率(熱エネルギー)を得ながら、温度異常に
    よる機械的損失を極力最小限に抑える。』
     
    と、言えます。                                                       
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    謹告。

    このメールマガジンの、読者様のなかで、
  
    1960年代当時、日産自動車追浜工場、第三実験課。(通称Y‐3課)
    に所属されていた方が、もしおられましたら、

    是非、是非、ご一報いただきたい。

    このメールマガジン紙上へ、三顧の礼をもってお迎えいたします。

    当時、日本は国をあげ、まさに重厚長大、怒涛の勢いで経済発展を
    推進してまいりました。

    自動車業界もその一翼を担い、国のキー・インダストリーとして、
    大いに躍進を遂げました。

    日産も、業界初のデミング賞を受賞するなど、
    「技術の日産」として確固たる地位をきずいたのです。
 
    誤解を恐れずに述べさせていただくならば、最も華々しく、パワー
    に満ち溢れていた頃ではないだろうか。

    後の日産の、多方面での活躍をみるまでもなく。

    そのなかにあって、

    Y−3課の存在は知られていても、その秘匿性ゆえ内容は一般の知る
    ところに非ず。

    しかし、そこから世におくりだされた名車の数々は、市場を席巻し
    紛うことなく、その実力を知らしめたのであります。

    今日、世界に冠たる自動車王国を築けたのも、当時の先人たちの、
    血のにじむ努力の賜物であります。

    激動の同時代をふりかえって、大いに語り合おうではありませんか。

    ご連絡お待ちしております。 
                 
                                   ‐hiro‐
                  ‐平成18年 8月 16日 22時50分‐
                       
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         こばやし ひろふみ
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