[ 車の理論と、基礎知識が自然と身につく情報誌!]

 車の事典
   中高年と初心者のための『車読本』

             by CARLIVE SEEKER『車は1/1の模型だね』

                          
                      − 第20号 2006.4.24 −
   
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  ☆皆様、お元気でしたか!!
      ご購読いつもありがとうございます。
                      
         そして、はじめての方には、ご登録ありがとうございます。
  
    ◇これからも皆様方に、愛され、支持される、
     メールマガジンを配信できるよう、努力してまいります。

     よろしくお願いいたします。

    ‐このメールマガジンは‐

    難しいクルマの専門用語を、極力やさしい言葉におきかえて
    中高年、初心者の皆様方にも、ご理解していただけるように
    お伝えしているつもりですが、

    時に、専門的な用語をつかったほうが、ご説明しやすい場合
    もあります。

    そのような場合でも、用語の解説を付記していきますので、
    ご安心ください。

    また、このメールマガジンを読み進めていくことで、
    自然と専門知識を身につけ、ご家族やお友達に、ちょっぴり
    うんちくを傾けられてはいかがでしょうか。

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    それでは、今日もご一緒に!

   ☆ やさしい自動車工学

    前回までの「走行抵抗」は、いかがでしたか。

    一口に走行抵抗といっても、

    さまざまな抵抗の種類があって、クルマを走らせることで必ず、
    何らかの「走行抵抗」の影響をうけており、

    またエンジンそれ自体さえ、エネルギーを発生させる行程において

    エンジンを回すために消費される、「摩擦抵抗」:(先の号を参照)

    などなどクルマの設計は、ただひたすらこのようなあらゆる抵抗の
    改善、改良の作業がすべてと言えるくらい困難をきわめる研究課題
    なのです。

    それでは今日のテーマです。

     ▼ 「動力性能」

     ◆[動力の伝動]
  
    エンジンで発生した動力(回転エネルギー)は、駆動輪に伝わって
    クルマを走らせるわけですが、
    
    エンジンから駆動輪まで動力を伝えることを、動力の伝動(伝達)と
    いい、

    エンジンで発生した動力をどのくらい駆動輪まで伝えたかという割合
    のことを、「伝動効率」という。

                       伝えた動力
          伝動効率 % = ────────
                       もとの動力

    いたってシンプルでしょ?

    もちろん使用する車両や、走行ギアで数値は変わりますが、
    トップギアおよびトップ以外の前進時で、0.93〜0.90位でしょう。

    あくまでも参考値として。

     ◆[車速とエンジン速度の関係]

    簡単な例として、
    トップギアの場合について説明していきますね。

    計算を簡単にするために、トップギアレシオ(ギア比)を 1:1
    として考えてみましょう。

    その時の、クルマのスピードとエンジンの回転速度(回転数)との
    関係は、最終減速比(ファイナルギアレシオ)とタイヤの大きさ
    (タイヤの径)によってきまります。

    式で表すと、

               2πr×60n          rn
          V = ────── = 0.377 ───
               if×1000          if


                      ifV
          n = 2.653× ──── = Z・V
                       r  

                  1000
         V1000 = ─────
                    Z

      ここに 

         V : 車速km/h

       V1000 : エンジン1000rpmあたりの車速km/h

         if : 最終減速比

         r : 駆動輪タイヤの有効半径m

         n : エンジン速度(回転数)rpm

          Z : エンジン速度係数

                     n            if
               Z = ─── = 2.653×───
                     V            r

                              とする。

    車速とエンジン速度(回転数)は、それぞれ上の式で求められます。

    それからも解るように、

    エンジン速度係数:(Zの値)を求めておくと、車速に相当する
    エンジン速度を求めるのに簡単で、たいへん便利です。
    
    たとえば、

    Z = 43.2 とすれば、車速40km/hのときのエンジン速度は、

    n = 43.2 × 40 = 1728rpm となります。

    そして上記の式からも解るように、
    「エンジン速度係数(Zの値)は、だいたい40前後なので、

    このZ値が判らないときは、車速の40倍がおおよそのエンジン速度
    と覚えておくとたいへん便利ですよ。」

    たとえば、
    時速50kmのときは、50×40=2000rpm前後ということ。
    
    この方法を知っていれば、
    クルマのスピードメーター、またはエンジン回転計のどちらかが

    とつぜん機能しなくなっても慌てることはないですね。
   
    また普段の運転のなかで、速度計と回転計の示度関係を、おぼえて
    おくことも大切です。

    タイヤの空気圧力を低くすると、走行距離がのびたと感じられるのは、
    上記のn(エンジン速度)をもとめる式からも理解できるように、

    タイヤの有効半径rが小さくなり、エンジンの回転数が大きくなって
    見かけの走行距離がのびたことによるものです。

    実際の走行距離は、逆に短くなっているわけですね。

    今回の「車速とエンジン速度の関係」は
    クルマの運転中にもちょっと遊べる、内容だったのではないでしょうか。
    
    楽しんでみてください。
        
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   ☆ やさしい航空工学

    ここでは、
    筆者のライフスタイルであり、また専門分野の一つでもある、
    航空工学について少し遊んでみたいと思います。

    どうぞ楽しんでください。

   ▽【大気の現象】

    前回から続いている「大気の現象」はいかがでしたか。

    我々地上から遠く離れた天空で、日々、さまざまな神秘なショウを
    見せてくれる「大気の現象」になぜかロマンをかんじます。

     ◇「夜光雲」Noctilucent cloud

    緯度の高い地方で、夏の夜ごくまれに見られる現象です。

    高度やく80kmで、かなり速く移動する光った薄い雲であり、
    このように光ってみえるのは、
    上空で雲が太陽光線に照らされているからなのです。

    これは化学圏(オゾン層)上部の温度の低い部分にできた、
    わずかの氷の結晶からできていると、考えられています。

   ◇「真珠母雲」Mother of pearl cloud

    この雲は、ノールウェイで発見されたものです。
  
    ノールウェイで西風がつよく、
    対流圏ではフェーン現象で雲がまったくない時に、

    はるか高層に繊細なレンズ状の真珠母貝のような緑赤色の
    雲が出現する。

    その時の高度は、やく23〜26km位と言われています。

    筆者は、いまだ一度も観察したことがありません。
    ぜひ見たいものです。

   ◇「音波の異常伝播」Sound propagation in the atmosphere

    たとえば、火山の爆発の音などは音源を離れるにしたがって、
    だんだん小さくなり、50km位はなれるとまったく聞こえなくなる。

    ご存知の、音のドップラー効果ですね。

    ところが、
    それよりもっと遠く、たとえば100km以上も離れたところで、
    きこえる場合もあることが判っているのです。

    このような現象を「音波の異常伝播」といい、
    外側の聞こえる区域を「外聴域」と言います。

    音の伝播速度は、媒質の〔絶対温度の平方根に比例する〕ので、
    地上からでた音波は、化学圏の高温度域に入ってしだいに

    曲げられ、またふたたび地上へもどってくるためなのです。

    これはまた50km位の上空の温度が高いという、別の意味での
    理論の証明となったのです。
    
    想像しただけで、もうワクワクしてきますね。
                                    
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    今日の本題。

    ◎車を知る【構造編 エンジン】

     ▼[スロットルバルブ]

    クルマのエンジンは、熱エネルギーの発生源であるということは、
    すでに過去の号でも、くり返し述べてきておりますのでご存知の
    こととおもいます。

    「熱エネルギー発生器」と考えてもよいでしょう。

    空気と燃料の混合気を、エンジンの燃焼室へ送って燃焼させそこ
    で発生した膨張エネルギーを、

    ピストン、コンロッド、クランクシャフトを経て回転エネルギー
    (回転トルク)に変えて、
    
    駆動輪へ伝達し、クルマを動かしているわけですね。

    このときの空気の量を調整しているのが、スロットルバルブなの
    ですよ。
    
    ではこのスロットルバルブは、どこでコントロールしているのか
    ご存知ですか?

    実はあなたが運転中に、頻繁と動かしているアクセルペダルが
    それなのですね。

    別名「スロットルペダル」とも言われています。

    そのアクセルペダルの踏み加減によって、
    それと連動するスロットルバルブの開閉がおこなわれ、その開閉

    程度に応じた空気の量が燃焼室へおくられるのです。

    当然アクセルペダルを、
    床面までいっぱい踏み込んだ状態(フルスロットル)では、
    スロットルバルブは全開となり空気の吸入量も最大となって、

    それと見合った燃料が噴射され燃焼し、エンジンの出力も増大する
    わけです。

    いうなればエンジンの出力のコントロールを行っている部分といえ
    るのですが、その構造はいたってシンプルです。

    薄い円盤状(バタフライともいわれる)の形をしていて、その直径
    を細いシャフトで支え、

    そこを支点にして円盤の傾き具合(バルブの開閉程度)を、
    アクセルペダルからワイヤーかロッドを介して調整しているのですが、
    
    最近では電気の信号をもちいてコンピュータで、その時の走行状態
    に適したバルブの開閉をコントロールできるようになりました。

    まさに日進月歩ですね。
               
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   ◆ 編集後記 ◆

    きょうは朝から穏やかに晴れて、気持ちのよい一日となりました。

    今季さいごの花見(桜)のチャンスかな。

    場所によっては、おおかた散っているところもありますね。

    でもここ一両日満開のところもあるようです。

    それにしても早いねー、あっという間だもんね。

    そんな今日、
    ひさしぶりに現役時代の資料を整理しながら、あれこれ見ていると
    おー、なつかしいね。

    当時の思い出が一瞬のうちに、よみがえってきます。
    
    そのころのレーシングカーは、
    殆どと言ってもいいくらい手造りだったなー。

    たとえばエンジンのチューンナップに関していえば、
    う〜ん、何から話そうかな ‥‥‥。

    ‥‥‥ ごめん、次回にするか。

            楽しみにおまちください。

    そんなこんなで、当時と今のクルマ造り(もちろん市販車での話)を
    比べてみると、なにかむなしさを憶えるのは筆者自身だけだろうか。
   
    時、まだモータリゼーションの発達も、ようやく黎明期をむかえたに
    すぎないそのころに、

    ここは、あえて誤解をおそれずに言わせていただきます。

    メーカーは今とは到底、比較するまでもなく、
    貧しい技術(当時としては最先端の技術であったことは、もちろん
    疑う余地はないのですが。)で、
   
    かくも個性ゆたかなクルマを世におくりだしてきたものか。
   
    ひるがえって今、これほどの技術を以ってしてさえも、
    生まれてくる、クルマの一台一台が、なにか金太郎飴のような気が
    してならない。

    個々の性能や耐久性などは、今とはとうぜん比較の対象にさえ
    ならないのはもちろんですが、

    表現を変えて言うなれば、それぞれのクルマが確固不抜の精神を
    もって光輝いていたように思う。

    たしかに不特定多数の万人に受けいれられ、かつ平均的好みにも
    応じられる製品が、市場を凌駕してきたわけですが。

    高い技術力や生産能力も、そのような市場を求め開拓し、育て、
    成熟させる環境を、競ってつくってきたのも事実です。

    誰が使用するにも、あつかいやすく安全に、同じような能力を
    引き出せるクルマは、たしかにすばらしいと思う。

    クルマにおけるこのような技術の革新は、大量生産、大量消費社会
    の環境の中、顧客の要求を満たすのに間違いなく必要で、且つ合理
    的なのかもしれないが、

    個人の好みの範囲で言わせていただくならば、

    なんとも味気なく、つまらなくなってきたのもまた然りです。

    クルマにたいする思いや、楽しみ方にも、千差万別あるわけで、
    もちろん個々の好みまで、すべてを満たすことなどは到底、
    いうまでもなく不可能極まりない。

    そう言ったことではなく、

    それぞれの楽しみの目的に応じた、クルマの選択や所有が可能な、
    一部の恵まれたユーザーはべつとして、

    一台のクルマで、最大公約数的な使用を求められている、多くの
    オーナー達にとっては、

    なにか虚しく、もの足りなさを感じているのも事実なのです。

    これほどまでに成熟した車社会においては、これから生産される
    リストのなかに、

    あえてクルマが乗り手を選択し、強烈な個性をむきだしに
    挑戦してくるような、そんなクルマがあってもよいのではないか。

    このことは決して、一部の超高性能車にありがちな、扱い難く
    鼻持ちならないクルマのことを、言っているのではないのです。

    望みさえすれば、だれもが手に入れることができ、

    且つまた、これも望むなら、

    その諸元を乗り手の要求に、自らの手で変更するたのしみも、
    もしくはオーダーによっても可能な、

    そんなフルチョイスのベースが、あってもいいと言っているのです。

    このことは限られたエンスー達の、欲求を満たす話でもなければ、
    決して実現不可能な、絵空事でもないはずですから。

    もっと手軽に、もっとエキサイティングに、より深く楽しめたなら…。

         ‥‥ クルマとは、そういうものであってほしい。

                                ‐hiro‐

               ‐平成18年4月22日 23時10分‐

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         こばやし ひろふみ
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