[ 車の理論と、基礎知識が自然と身につく情報誌!]

   車の事典!!
     中高年と初心者のための『車読本』

               by CARLIVE SEEKER『車は1/1の模型だね』

                          
                                   − 第64号 2008.08.28 −
   
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    ☆皆様、お元気でしたか!!
          ご購読いつもありがとうございます。
                      
        そして、はじめての方には、ご登録ありがとうございます。
           
     ‐このメールマガジンは‐

     難しいクルマの専門用語を、極力やさしい言葉におきかえて
     中高年、初心者の皆様方にも、ご理解していただけるように
     お伝えしているつもりですが、

     時に、専門的な用語をつかったほうが、ご説明しやすい場合
     もあります。

     そのような場合でも、用語の解説を付記していきますので、
     ご安心ください。

     また、このメールマガジンを読み進めていくことで、
     自然と専門知識を身につけ、ご家族やお友達に、ちょっぴり
     うんちくを傾けられてはいかがでしょうか。

              [等幅フォントか、MSゴシックでお読みください]
    
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    それでは、今日もご一緒に。
    
    初心者でもプロの知識が!

    ★ やさしい自動車工学【出力編】   
    
   【エンジンの出力】

    創刊以来、

    自動車エンジンの、性能に関する基礎的な知識(基本用語)につい
    て、お伝えしてまいりましたので十分ご理解された事と思います。

    ある意味、自称プロの人たち以上にですよ。

    尤も。

    真のプロフェッショナルは、自ら自身のことをプロとは申しません
    が。。

    また機会をみて、
    重要な項目に関しては、繰り返し復習をしていきますね。

    ◆[吸入・排気行程]inhalation・exhaust stroke
   
    前回の「バルブ・オーバーラップ」はいかがでしたか。

    この「バルブ・オーバーラップ」valve overlap は、
    通常クランク角で、20〜40度の範囲で行われていますが、実際30度
    以下では、問題になるような吸気の吹き抜けは起こり難いのです。

    また逆に、大きな角度になると、排気ガスが吸気系に逆流して、
    吸入効率を低下させたり、燃料消費率も悪くなる。

    それにバックファイアの原因にもなって、あまり好ましいとは言え
    ません。

    このような理由から、
    前の号でも述べた、混合気を多く吸入し、排気ガスを完全に排出さ
    せるように、

    『ピストンが上死点の少し前で吸入バルブが開き、また上死点後の
    少し後で、排気バルブが閉じるようにしてあるのです。』

    したがって排気行程から吸入行程に移る、ある時間は、吸入・排気
    の両方のバルブが開いていることになる。

    これを「バルブのオーバーラップ」と呼んでいるのでしたね。

    今日のテーマです

    ◆「排気弁・開」exhaust valve open
    
    今回は「排気弁・開」について述べていきます。


    1)排気バルブ(開):E.V.O exhaust valve open

    一般に、シリンダー内において、
    燃焼ガスの「膨張作用」を最大に利用するためには、排気バルブの
    開く時期を、ピストンが下死点に近い位置にきたときに開いてやれ
    ばよいのですが。。


    しかしその一方で、
    「残留燃焼ガス」の圧力をできるだけ低くして、燃焼ガスを排出
    (排気)するために「消費される損失」を少なくするには、

    燃焼ガスの
    「膨張作用」の一部を犠牲にして、あらかじめ下死点のかなり前に
    排気バルブを開くようにする。

    通常、排気バルブが開く時期のシリンダー内圧力は、非常に高く、
    背圧の約2倍以上にもなるので、

    排気バルブを通過する燃焼ガスの流速は、ガス中の音速に達してい
    て、ピストンが下死点に到達するまでに、ほぼ80%がすでに排出
    されているのです。

    排気バルブの開く時期を早くすると、
    「排気の吹き出し損失」が大きくなりますが、反対に「排気行程損
    失」、いわゆる燃焼ガスの「排気のために消費する損失」が少なく
    なるので、


    『この相反する両方の損失が、一番少なくなる排気バルブの開く角
    度が、ピストンの上死点前、約50度前後になるのです。』
    
        
                                ‐次回へ続きます‐
                                    
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    大空に夢を!

     ☆ やさしい航空工学【基礎編】     

    ここでは、

    筆者のライフスタイルであり、また専門分野の一つでもある、
    航空工学について少し遊んでみたいと思います。
    
    どうぞ楽しんでください。
   
    航空力学【性能】編

    ここで述べられている事柄は、
    なにも航空工学に限られていることではありません。

    お伝えする項目には、
    とうぜん自動車工学にも応用できる内容を数多く含んでおります。


    そのような視点から、

    とかく専門的になりがちな文章は、極力さけてご説明をくわえてい
    くつもりです。

    今日のテーマです。

    ◇[旋回]turn ‐続編‐

    前の号でお伝えした「旋回」はいかがでしたか。

    航空機が旋回飛行を行うと、機体に「加速度」が発生するという事
    でしたね。

    この加速度 G の大きさを表わすものに「荷重倍数」があります。

    ▽この「荷重倍数」load factor とは、
    飛行中の航空機に働く空気力の「合力」と航空機の「重量」との比
    のことを言い。

    ※つまり、旋回によって発生した「空気力」および「慣性力」等の
    航空機に作用する力が、その航空機の「重量」の何倍に当たるかを
    表したものなのです。

    言いかえるならば、
    空中を飛行する航空機の機体に、外部から与えられた圧力全体(総
    荷重)が、航空機の総重量に対して占める割合のことを言っている
    のです。
    
    このことから、
    「旋回角度」が大きいほど「荷重倍数」の値も、大きくなるのがお
    解りいただけると思います。

    ここで例として、
    戦闘機どうしの巴戦(ドッグ・ファイト)で旋回角度が最大になる
    横の巴戦、90度の垂直旋回がある。


    いわゆる左垂直旋回で言えば、左翼はほとんど垂直に地面もしくは
    海面を指していて、

    反対に右翼は垂直に空を指している状態で、敵機の後ろへ回り込む
    飛行は「荷重倍数」G との戦いでもある。


    首を真後ろに折り曲げ、上瞼ぎりぎりに敵機を捉えながら旋回を続
    ける過酷な戦いは、

    機体だけではなく、パイロットにも肉体的、精神的に激しい苦痛を
    強いてくる。  
    

    この苦しい水平戦闘を制する唯一の方法は、旋回技術はもとより、
    ただひたすら我慢し耐えることだと、前回ご紹介の撃墜王、坂井氏
    は述べている。


    例えば荷重倍数が 3G のとき、機体および操縦士にかかってくる
    負荷は、それぞれに3倍の重量が加わると言うことなのです。


    それが巴戦ともなれば、
    5〜6のGが加わり、首の骨はギシギシと軋み、脳の血液は足元迄
    下がり、薄れていく意識との懸命な戦いだとも言います。

    敵機と戦う以前に、自分自身との戦いがあったのですね。

    筆者自身にも、これに似た経験があります。

    富士スピードウェイの、
    直線1.6kmを全速で抜けた後に続く、世界に類をみない200R、
    カント30°のバンクをもつ、
    
    第一コーナーの壁にはりついて周るとき、少なからず G の影響を
    うけたものです。

    またこのときのGをうける体の反応から、その日の体調を判断する
    ことができました。

    若い頃の未熟な体験が、思い起こされます。

    ▽ここで旋回飛行中の
    航空機や操縦士にとって特に注意すべきことは、機体に設計以上の
    「荷重倍数」を与えないことです。


    機体の損傷、破壊につながる重大な危険をともなうばかりか。

    「荷重倍数」の増加によって、
    失速速度も増し、一見、安全に思われる飛行速度も、危険な失速
    状態に陥りかねないのです。


    ※このように
    [荷重倍数]をコントロールすることは、操縦士にとって最も重要
    な旋回技術をマスターすることになるのですね。
          
                                ‐次回へ続きます‐
                    
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    ちょっと一息!

   《喫茶室》

    ◇[ルドルフ・カラチオラ] Rudolf Caracciola
            
    ‐ドイツが生んだ最も偉大なドライバー‐ 

    ドイツの名門、メルセデスの黄金時代を築いた伝説のドライバー。

    常勝メルセデスの往くところ、

    常ににエースとして君臨!数々の勝利とエピソードを残した、
    栄光!のレーシング・ドライバー。

    また彼の現役時代も長く、
    1926年から始まって、1939年までの実に13年間にも及び
    全盛を誇る。


    第一回ドイツGPの勝利に始まり、

    ツーリスト・トロフィー、1935年、1937年、1938年の
    スイスGP。

    1934年、1937年のイタリヤGP。

    1935年のフランスGP。同年のベルギーGP。

    1936年モナコGP‥‥等々。


    当時、ほゞ全てのGPで優勝している。マシーンは言うまでもなく
    メルセデスで。

    いや正確には、
    一度だけアルファ・ロメオに移籍、それもメルセデスがレース参戦
    を見送った年に。

    残念なことに、
    当時(戦前)には、まだワールド・チャンピオンシップの制度もな
    かったのだが、

    もしあったなら、
    少なくとも6〜7回は、ワールド・チャンピオンに輝いていたはず
    である。 


    尚、特筆すべき点は、ミレ・ミリアに勝利したことだろう。

    それは、この伝統ある永いレースの歴史の中で、イタリア人以外で
    の勝者は、二人しかいない。

    このカラチオラと、
    あのスターリング・モスで、これも車はもちろんメルセデスである。
    

    また優れたレーシング・ドライバーには、個性ともいうべき独特の
    戦うスタイルがあった。


    どんな悪条件の中にあっても、
    常に冷静沈着!マシーンを操る、優等生タイプのファンジオであり、

    最悪の状況になるほど、闘志に火がつく、勇猛果敢な天才ヌボラリ。

    等々。。


    しかし勝負強さの面からみれば、
    カラチオラをおいて、他に並ぶ者はない。まさに当代随一!勝負師
    の真骨頂。

    こんなエピソードがあった。

    戦前のドイツ、
    ニュルブルクリンク(当時、全長22.8km)に於いて、ラップ
    10分の壁をこえることが目標とされているとき。

    メルセデスのライバル、
    アウト・ウニオンの天才、ベルント・ローゼマイヤは9分46秒2
    のタイムを叩き出す。
    
    またチーム仲間のハーマン・ランクや、ブラウヒッチュも、次々と
    好記録をマークする。

    ところが、
    カラチオラは、10分をわずか0.4秒を割ったにすぎない。

    もはや勝利は、誰の目からみても絶望的だった。

    にもかかわらず、
    このレースは、見事、カラチオラが制することになる。


    まさにエースの真髄!極めたり。


    それに1938年には、
    あのアウト・ウニオンと絶対速度記録を戦い、432.7km/hと
    いう世界新記録まで樹立!している。


    しかし、これもエースの宿命。
    長い現役生活も、次々と世に出される新しいマシーンにたいして、
    そのレーシング・スタイルが合わなくなってきた。


    そして迎えた
    スイスGPで大事故を起こし、足に負傷、愛称カラッチョと親しま
    れた彼も、

    ついに無念の引退。


    そのドイツ魂は、いまも人々の胸に燃え続けている。。
                                      ‐hiro‐
     
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    初心者のための車講座。              
  
    ◎ 車を知る【ABS】     

    【アンチロック・ブレーキ・システム】Antilock Brake System

    車の制動には、
    ブレーキの摩擦力を利用しておこなっていることは、誰でも知って
    いることですね。

    しかしこの摩擦力も必要以上に大きくなると、むしろ弊害が伴なう。

    それは、タイヤと路面の摩擦力より、ブレーキ自体の摩擦力が大き
    くなった場合に起こってきます。

    ▼強すぎる制動力は、
    タイヤの摩擦力の限界を超えるため、タイヤはロックして路面を滑
    走し。

    そのためにステアリングのコントロールも出来ず、むしろ制動距離
    も長くなり、もはや車とは言えず、危険きわまりない物体と化して
    しまうのです。


    ▼このような緊急事態を招かないためにも、
    ブレーキは常にドライバーの意志の元に、コントロールされなけれ
    ばなりませんね。


    本来ならドライバー自身が、
    ブレーキの制動力の加減を、その時々の状況に合わせてブレーキ・
    ペダルの踏み加減でコントロールをしていたのですが。


    このことはレーシング・ドライバーや、
    一部の優れた人達は別にして、多くの一般的なドライバーにとって
    緊急時の速やかなブレーキ・コントロールなど、

    けっして安易な運転技術とは、言えません。

    そこで、
    これらの問題を解決するのに、アンチロック・ブレーキ・システム
    が取り入れられるようになったのです。

    アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)は、

    読んで字の如くで、
    上述の通りブレーキの摩擦力が強すぎて、タイヤがロックするのを
    防ぐため、これを機械的なシステムでおこなうと言うことです。

    ▼通常、ブレーキの制動力は、
    タイヤのロックする寸前が、最も大きくなる時で。

    そのため
    このような効果を、緊急時のとっさの急ブレーキに働かせるには、
    各種のセンサーから情報を読みとり、

    その時の状況に最も適した、
    ブレーキ・コントロールを、システムが安全に自動的にやってくれ
    るので。

    ドライバーは、
    ただ確実にブレーキ・ペダルを踏み続けていればよいのです。


    ※このコーナーの性格上、難しい機構に関するご説明は、省かせて
    いただきました。

    機会をみて、別のコーナーで取り上げてみたいと思います。
    
             今日はここまでです

                   おつかれさまでした。
                        
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    〓 編集後記 〓

    前回の配信では、猛暑の中からお伝えしたのに、

    今はもう、
    朝晩すっかり涼しくなり、気持ちの良い日々を過ごしております。

    しかし、
    これでも日中はさすがに暑く!まだまだ残暑は続きそうですが。

    読者さまは、いかがお過ごしでしょうか。

    しかし夏の疲れは、これからです。

    油断大敵!

    どうぞ、ご慈愛ください。            
                                         ‐hiro‐
                                ‐平成20年08月28日 23時30分‐
              
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         こばやし ひろふみ
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